親族にマイホームを売っても『3,000万円特別控除』は使える?特例が使えない親族と住宅ローン控除との注意点
結論から申し上げますと、親戚が買い手であっても『3,000万円特別控除』を使える可能性は十分にあります。
この特例は「親戚かどうか」ではなく、「特殊関係者に該当するかどうか」で使えるかが決まります。兄弟姉妹や甥・姪、いとこなど、生計が別で売却後も同居しない親族であれば、特例の対象となる可能性があります。
なぜそうなるのか、順番に見ていきましょう。
①3,000万円特別控除とは
3,000万円特別控除とは、
・自分が住んでいるマイホーム(居住用財産)を売却した際に、
・売却益(譲渡所得)から、最高3,000万円を差し引くことができる特例です。
所有期間の長い・短いに関係なく使えるため、売却益が3,000万円以内であれば、譲渡所得税は0円になります。
不動産を売却した際の税金の仕組みや、その他の特例については、
「【初心者向け】不動産を売却した際にかかる『譲渡所得税』の概要と税金を安くする4つの特例を解説」もあわせてご覧ください。

②親戚に売る場合は「特殊関係者」に当たるかがポイント
この特例は、
・「親戚かどうか」ではなく、
・「特殊関係者に該当するかどうか」で使えるかが決まる仕組みになっています。
つまり同じ親戚(親族)でも、関係性や売却後の住まい方によっては、特例が使えなくなってしまうのです。
特例が使えない親族(特殊関係者)
売却先が以下の『特殊関係者』に該当する場合、『3,000万円特別控除』は使えません。
・配偶者および直系血族(父母、祖父母、子、孫など)
・生計を一にしている親族
・内縁関係にある人
・自分や親族が経営している同族会社など、特殊な関係のある法人
・売却した後にその家で同居する親族
(※売った本人が、売却後もその家で買い手の親族と一緒に暮らし続ける場合)
特例が使える可能性がある親族
一方で、
・生計が別で、
・直系血族でもなく、
・売却後も同居しない親族(兄弟姉妹、甥・姪、いとこなど)であれば、特例の対象となる可能性があります。
なぜこのような線引きがあるのか
身内同士で形式的に売買を行い、実際には家族がそのまま住み続けるといった、「特例を使うためだけの売買」を防ぐためです。
③特例を使える場合と使えない場合の税額の違い
では実際、特例の有無でどれくらい税金が変わるのかを見てみましょう。
仮に、以下の条件でマイホームを売却したとします。
・売却価格:4,000万円
・取得費+譲渡費用:2,500万円
・譲渡所得(儲け):1,500万円
【特例を使えない場合】
・譲渡所得:1,500万円
・税率:約20%(所有期間5年超の場合)
・譲渡所得税:約300万円
【特例を使える場合】
・譲渡所得:1,500万円
・特別控除:▲3,000万円
・譲渡所得税:0円
このように、特例が使えるかどうかで、手元に残るお金が数百万円単位で変わってきます。
親族に売る際は「売買価格」にも注意
特例が使える親族であっても、「売買価格」には注意が必要です。
親族だからと相場よりも著しく安い価格で売ってしまうと、
・売った側は特例が使えても、
・買った側(親族)に『贈与税』が課税される、という思わぬ事態になりかねません。
身内間の売買だからこそ、不動産会社の査定を取るなどして、適正な価格で取引を行うようにしてください。
(※値引きをする場合は、実勢価格(相場の適正価格)の80%くらいまでなら、許容される可能性は高いです)
その他の主な要件
特殊関係者への売却でないことに加えて、以下の点にも注意が必要です。
① 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
② 前年・前々年に、この特例(または買換え特例など)を使っていないこと
③ 特例を使って税額が0円になっても、確定申告は必ず必要なこと
④住宅ローン控除とは併用できないので要注意
売却後に新居を購入して住宅ローンを組む予定の場合は、特に注意が必要です。
・新居に入居した年と、その前2年・後3年の合計6年の間に、
・旧居の売却で『3,000万円特別控除』を使うと、
新居の住宅ローン控除は受けられなくなってしまいます。
具体例で確認してみましょう
(例)2026年に新居へ入居した場合
住宅ローン控除を使いたいなら、3,000万円特別控除を使ってはいけない期間は「2024年〜2029年」です。
つまり、2026年に旧居を売却して3,000万円特別控除を使った場合は、
・2026年〜2029年はもちろん、
・2030年以降も含めて、最長13年分の住宅ローン控除がすべて使えなくなってしまいます。
見落としやすい「後3年」の落とし穴
特に見落としやすいのが「後3年」の部分です。
・新居で住宅ローン控除を受け始めた後に、
・NG期間中に旧居を売却して3,000万円特別控除を使った場合は、
それまでに受けていた住宅ローン控除も、さかのぼって適用できなくなります。
この場合、
・原則として過去の申告を修正し、
・控除によって減っていた税金を納め直す必要があります。
(※もちろん、その後も住宅ローン控除は一切使えません)
どちらが有利かを比較して選びましょう
ですので、
・「3,000万円特別控除で減る税金」と、
・「住宅ローン控除で減る税金(最長13年分)」を比較して、有利な方を選ぶことが大切です。
売却と新居購入のタイミングが近い場合は、どちらを使うべきか事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
まとめ
・親戚への売却でも、『3,000万円特別控除』を使える可能性は十分にある
・使えるかどうかは「特殊関係者」に該当するかで決まる
・配偶者・直系血族・生計を一にする親族・売却後に同居する親族などへの売却では使えない
・特例が使える親族でも、相場より著しく安く売ると買い手に贈与税がかかるおそれがある
・新居の住宅ローン控除とは併用できないため、事前のシミュレーションが重要
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