【2026年最新版】住宅取得資金の贈与は最高で1,000万円までが非課税!特例を利用するために必要な〝8つの条件〟
マイホームの購入というのは、働き盛り世代・子育て世代の人達にとって、家計を大きく圧迫する、人生最大の買い物ですよね。
そんな、家計の大きな負担になる住宅購入資金について、
・最大1,000万円までの金額を、
・両親や祖父母から『非課税』で受け取ることが出来る、非常に太っ腹な制度があります。
それが、今回ご紹介する『住宅取得等資金の贈与』です。
この制度は、
・自分が住むための住宅の、
・購入や増改築に充てるための資金を、
・令和6年1月1日~令和8年12月31日までの間に、
・祖父母や両親から贈与を受けた場合、
一定の要件を満たせば、贈与を受けた金額のうち『最大1,000万円』までが非課税となる、というものです。
この制度は、
・贈与を受ける側にも、
・贈与を行う側にも、非常にメリットのある、大変良い制度なんですが・・・、
・このお得な制度の、メリット部分だけを不動産業者などから聞きかじり、
・キチンとした利用条件を把握しないまま使ってしまったことで、
『結果的に特例が適用されず、多額の贈与税を支払う羽目になった・・・』というケースも少なくありません。
そこで今回の記事では、これら4つのテーマについて、詳しく解説を行っていきます。
①(2026年最新版)住宅取得等資金の贈与の概要
②住宅取得等資金の贈与を利用するために必要な〝8つの条件〟
③当該制度を使うことによって起こるデメリットと注意点
④【知らないとマズイ】視聴者の方々から頂いた質問とそれに対する回答
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①住宅取得等資金の贈与の概要(2026年最新版)
ではまず、この『住宅取得等資金の贈与』とは一体どういったモノなのか、
その概要部分について見ていきます。
この制度は、
➡令和6年1月1日~令和8年12月31日までの間に、
➡自分が住む家の購入や・リフォーム・増改築のために使うお金を、
➡祖父母や両親から贈与を受けた場合、
・省エネ等住宅であれば最高で1,000万円、
・その他の住宅なら最高で500万円までの贈与が非課税となる制度です。
ちなみに厳密に言いますと、
・この制度と年間110万円の暦年贈与は併用が出来ますので、
・この表の金額(省エネ1,000万、その他500万)プラス110万円までが非課税となる、という部分は覚えておいて下さい。
(※相続時精算課税制度との併用については後述します)
■省エネ等住宅とは
また先程から、
『住宅取得等資金の贈与』を使って住宅の購入やリフォームを行う場合、その住宅が「省エネ等住宅」か、「それ以外の住宅」かで非課税額が変わるとお話していますが、
この「省エネ等住宅」というのは、何をもって「省エネ等住宅」と定義されているのかといいますと、
詳しくはこちらの表のような、
① 省エネ基準、
② 耐震基準、
③ バリアフリー基準というものがあり、これら①~③のうちのどれか一つを満たしておれば、その住宅は『省エネ等住宅』に該当します。
(※①の省エネ基準ついては、取得する自宅が『新築』か『中古』かによって変わります)
そして、省エネ等住宅を取得するために贈与を受けた場合には、
・翌年に贈与税の申告をする際に、
・先ほどの基準に適合しているという証明書を、贈与税の申告書と一緒に提出をする、
という流れになります。
■適用を受ける為の面積要件
また、新築・取得・増築する『家屋』には、他にも面積要件というものがありまして、
まず、家屋を「新築 もしくは 中古取得」する場合には、
・住宅用家屋の「登記簿上の床面積(マンションなどの場合は専有部分の床面積)」が
➡40㎡以上240㎡以下で、かつ、
➡その床面積の2分の1以上に相当する部分が、
➡贈与を受けた人の居住用であること、
という決まりがあります。
例えば、
・家屋全体が居住用であったとしても、
・その床面積が250㎡であれば、特例の適用を受けることはできません。
また、店舗兼住宅の場合で、
・店舗部分が100㎡、
・居住部分が150㎡なら、
居住部分だけを見れば『40㎡~240㎡』の範囲内に収まっていますよね。
ですが、この特例の面積要件は『家屋全体の床面積』で判断をします。
ですので、この店舗兼住宅の床面積は合計250㎡となり、特例の適用を受ける事が出来ない、という点には注意が必要です。
■家屋の増改築にかかる面積要件
また『住宅取得等資金の贈与』を使って、家屋の増改築を行う場合の面積要件としては、
増改築後の家屋の「登記簿上の床面積(マンションなどの場合は専有部分の床面積)」が
➡40㎡以上240㎡以下で、かつ
➡その床面積の2分の1以上に相当する部分が
➡贈与を受けた人の居住用であること、という決まりがあります。
例えば、
・元の家屋の床面積が200㎡で、
・増改築により床面積が50㎡広くなりますと、
・家屋全体の床面積が250㎡となってしまい、特例の適用を受けることができない、
という訳です。
他にも、増改築のために『住宅取得等資金の贈与』を受けるためには、
・自身が所有、かつ居住してる家屋に対しての増改築でないといけなかったり、
・工事費用が100万円以上、かつ費用の2分の1以上が居住部分に対する工事に掛かる費用であること、
といった条件がある点も、注意が必要です。
さて、ここまでが『住宅取得等資金の贈与』に関するザックリとした概要となります。
ではここからは『住宅取得等資金の贈与』を利用するために、ここだけは押さえておかなければいけない!という、〝厳守すべき8つの条件〟について解説して行きます。
②住宅取得等資金の贈与を利用するために必要な〝8つの条件〟
ⅰ【条件1】直系の親族間で行われる金銭の贈与にのみ利用が可能
まず最初に、住宅取得等資金の贈与を利用するために必要となる条件の一つ目は、
「直系の親族間で行われる金銭の贈与にのみ制度の利用が可能」ということです。
つまり『住宅取得等資金の贈与』は、この図の様に、
・祖父母から孫へ、あるいは
・両親から子供への『お金の贈与』に対してのみ、利用出来るということですね。
稀に義理の祖父母や父母から贈与を受けておられる方がおられますが、これは対象外となりますので気を付けておいて下さい。
ⅱ【条件2】配偶者やその家族、親戚などから住宅を取得しない
次に2つ目の条件は、「配偶者やその家族、親戚などから住宅を取得しない」ということです。
ようは、『住宅取得等資金の贈与』を使って
・身内が持っている家を買い取るということは出来ません。
この制度を使って住宅を取得する場合には、あくまでも、
・新築で家を購入するか、
・他人から中古住宅を購入する必要があるので、その点には注意が必要です。
しかし、『身内から自腹で買い取った家』のリフォーム費用については話が別です。
自分のお金を使って、適正な価格で身内から建物を購入し、自分の名義で登記を行えば、登記を行った家は正式にあなたの物ですよね。
(※市場価格よりも明らかに低い金額での購入は『贈与』に該当する可能性あり)
ですから、登記完了後に
・自宅をリフォームするためのお金を、
・親や祖父母から贈与(住宅取得等資金の贈与)を受けるという行為は、何も問題ありません。
ⅲ【条件3】贈与を受ける側の年齢が18歳以上
次に、住宅取得等資金の贈与を利用するために必要となる条件の3つ目は、
「贈与を受ける側の年齢が18歳以上である」ということです。
この特例を使う場合、贈与を受ける側の年齢は、
贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上でないといけません。
例えば、
➡2026年7月5日に住宅取得等資金の贈与を受けた人が
➡前日の7月4日に18歳の誕生日を迎えていた場合、
➡この制度は利用できない。
という事になります。
逆に
➡今年『住宅取得等資金の贈与』を受ける人は、
➡今年の1月1日時点で18歳になっていればOKという事ですね。
ⅳ【条件4】贈与を受ける側の所得金額が2,000万円以下
次に条件の4つ目は、「贈与を受ける側の所得金額が2,000万円以下である」ということです。
(※新築等をする住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)
『住宅取得等資金の贈与』を受ける人は、贈与を受ける年の合計所得金額が2,000万円を超えていた場合には、この制度は利用できません。
例えば、
2026年に住宅取得等資金の贈与を受ける場合、
➡前年の2025年における合計所得金額が2,000万円を超えていたとしても、
➡贈与を受ける2026年の合計所得金額が2,000万円以下であれば、
➡制度を利用する事が可能ということですね。
ⅴ【条件5】過去に住宅取得等資金の贈与を受けていない
次に、住宅取得等資金の贈与を利用するために必要となる条件の5つ目は、
「過去に住宅取得等資金の贈与を受けていない」ということです。
平成21年~令和5年までに「住宅取得等資金の贈与」の適用を受けた人は、特例の非課税枠を最大まで使っていなかったとしても、原則として新たにこの制度を使う事はできません。
(※一定の自然災害により建物が滅失した場合、救済措置として再適用が認められる)
逆に、令和6年分以降において初めて「住宅取得等資金の贈与」を使う場合は、
・令和6年に省エネ等住宅の購入のために父親から700万円の贈与を特例で受け、
・その後、数年後に増改築の為に父親から300万円の贈与を特例で受ける、ということは可能となります。
(※2回目以降の非課税枠は、1回目で利用した金額の『残額』が限度額となります)
ⅵ【条件6】貰った資金は必ず〝全額〟住宅の取得等のために使うこと!
次に条件の6つ目は、「貰った資金は必ず〝全額〟住宅の取得等のために使う」ということです。
この住宅取得等資金の贈与を受ける場合には、貰ったお金は全額、
・住宅の取得資金、
・住宅の新築資金、
・住宅の増改築資金、といったことに使わないといけません。
よくある注意点としては、
・この制度を利用して贈与を受けたお金を『ローンの返済』に使おうとする人や、
・家具などの購入費用に充てようとする人もいますが、これはやってはいけません。
そもそも住宅ローンというのは
・『住宅購入のための借金』に過ぎず、
・『住宅の購入そのもの』ではありませんよね。
そのため『住宅取得等資金の贈与』を使って贈与を受けたお金を、ローン返済などに使ってしまうと、
・その贈与分というのは、通常の贈与と同じ扱いとなり、
・年間110万円を超える部分に対しては贈与税が課税されることになります。
ですので『住宅取得等資金の贈与』として贈与を受けたお金は、
キチンと全額を『住宅の取得・新築・増改築』の為だけに使う様にしましょう!
(※仮に資金が余ってしまった場合は、余った資金が贈与税の課税対象となります。)
ⅶ【条件7】贈与を受けた年の翌年3月15日までに〝住居の取得・新築・増改築を行い〟その家屋に居住する
次に、住宅取得等資金の贈与を利用するために必要となる条件の7つ目は、
「贈与を受けた年の翌年3月15日までに〝住居の取得・新築・増改築を行い〟その家屋に居住する」ということです。
■住宅の取得・新築・増改築の場合の取扱い
・住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、
・贈与を受けた資金の『全額』を使って、
・住宅の取得・新築・増改築を行い、
・その住宅に住んでおくことが必要となります。
じゃあ、
「新築や増改築の場合、贈与を受けた翌年の3月15日までに工事が終わらなければ、この特例を使えないの?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが…
安心して下さい!
新築の場合でしたら
・3月15日までに建物の棟上げ、つまり建物の『柱・梁・屋根』などの骨組みを組み上げる工程までが終わっている状態でしたり、
増改築の場合でしたら、
・3月15日までに既存の住宅と一体となっている状態にまでなっていましたら、
贈与を受けた人は、その家に住む意思があると認められるんですね。
ですので贈与税の申告書と共に、
・いつ入居予定なのか、
・いつ頃完成予定なのか、
こういった事項を記入した『約定書』を提出して頂ければ、
・たとえ住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、『新築・購入・増改築』した住宅に住んでいなかったとしても、
・制度を利用することは可能となります!
ただし、
・住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日を超えて、
・その年の12月31日までにその住宅に住んでいない場合は、
この制度の適用外となってしまい、
贈与税の修正申告をして贈与税を支払わなくてはいけませんので、注意して下さい。
■新築マンションの場合の取扱い
ちなみに、戸建て住宅ではなく、新築マンションを購入される場合は、
・原則として3月15日までに建物が完成し、
・引き渡し(=取得)を受けておく必要があります。
(※ここが間に合わないと、原則として制度は使えません)
その上で、やむを得ない自己都合があるなどで、3月15日までに完成したマンションに『住めていない』場合は、
・「3月15日以後遅滞なく居住する見込み」がある旨を、
・申告書類に添付して頂くことで、制度の利用は可能です。
ただし新築マンションの場合も、最終的にその年の12月31日までに居住を開始しないと、制度の適用外となってしまいますので、この部分も注意が必要です。
■不動産登記は忘れずに
また贈与を受けた人は、
・新しく取得した住居を所有(共有)しなければ、
・『住宅取得等資金の贈与』を受けることが出来ませんので、
翌年の贈与税の申告時期までに、不動産登記を済ませておくことを絶対に忘れないで下さいね!
ⅷ【条件8】贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に必ず申告を行う
最後に、住宅取得等資金の贈与を利用するために必要となる条件の8つ目は、
「贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に必ず申告を行う」ということです。
『住宅取得等資金の贈与』に関しては、毎年、制度の適用を認められない人達が一定数いらっしゃいます。
それはどういった方かと言うと、
「親や祖父母から贈与を受けた金額が特例の非課税限度内だから、自分には贈与税は掛からない!」と、翌年の申告の時期に贈与税の申告をしない人達です。
ですが、この『住宅取得等資金の贈与』というのは、
・贈与を受けた金額が非課税枠の範囲内であろうが、
・非課税枠を超えていようが、
特例の恩恵を受けたいのであれば、
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、必ず、
・この制度を利用する旨を記載した贈与税の申告書と、
・戸籍謄本、登記事項証明書、契約書の写しなどの、各種必要書類を税務署に提出しないといけません。
たとえ、
・忘れていた、
・勘違いをしていた、
・災害や事故に巻き込まれたなど、
どんな事情があったとしても、申告が3月15日を1日でも過ぎてしまうと、この制度を利用することができず、贈与を受けたお金に対して贈与税が課税されることになります。
なので繰り返しになりますが、どんな事情があったとしても、申告が3月15日を1日でも過ぎてしまうと、この制度を利用することができません。
それに加え、申告の際には各種証明書や契約書の写しなど、たくさんの書類を添付する必要がありますから、
・『住宅取得等資金の贈与』を今から利用したい!と考えておられる方は、
・早め早めに準備をして、必ず期限内に申告を済ませる様にして下さい。
さて、ここまでの内容を見て来られた方の中には、
「今すぐにでも『住宅取得等資金の贈与』を使いたい!」と思った方もいらっしゃるでしょう。
ですが、ちょっと待ってください!
この制度は冒頭でもお話した様に、
・制度自体の人気も高く
・贈与を受ける側、行う側にとってもメリットの大きい、非常に良い制度なんですが、
この制度を利用する上で知っておかなければならない、『デメリット』と『幾つかの注意点』も存在するんですね。
ですので次の章では、この『住宅取得等資金の贈与』を利用する上での『デメリット』と『注意点』についても見ていきましょう。
③当該制度を使うことによって起こるデメリットと注意点
では、住宅取得等資金の贈与を利用する場合のデメリットとは一体何か、というと、それは、
・この制度を使って自分の自宅を持ってしまうと、
・将来親の相続が発生した際に『小規模宅地等の特例』が使えなくなる!ということです。
■小規模宅地等の特例
この『小規模宅地等の特例』とは、
・亡くなった方が実際に住んでいた土地であれば、
・一定の要件を満たす相続人が相続した場合、
・その土地の330㎡までを80%引きの価格で相続しても良い、という制度です。
仮に亡くなった方の土地の本来の価値が2,000万円なら、
『小規模宅地等の特例』を使うことにより、
その土地を80%引きの、400万円という評価額で相続をすることが出来るんです。
・本来2,000万円の価値のある土地が1,600万円減額されて、
・400万円の評価額で相続出来る訳ですから、その節税効果はカナリ大きいですよね。
(※あくまで評価上の話ですので、土地の価値自体は2,000万円のままです。)
しかしこのお得な特例を使う為には、
自宅を相続する人が、
・亡くなった方の配偶者であるか、
・亡くなった方と同居をしていた親族であること、
といった条件があるんです。
もし亡くなった方に、
・配偶者も、同居親族もいない場合は、
・亡くなった方と別居をしていた親族で
・3年以上持ち家に住んでいない(ようは賃貸暮らしの人)であれば、
この特例を使う事ができるのですが、
いずれの場合も、自分の持ち家がある人は『小規模宅地等の特例』を受けることができないんです。
(※例外として配偶者は自身の持ち家があっても特例が使える)
つまり、子供さんが現在賃貸暮らしの状態なのでしたら、
・子供さんがそのまま賃貸暮らしを続ければ、
・将来、亡くなった方の自宅を相続する際に、土地の330㎡までを最大80%引きで相続できる、『小規模宅地等の特例』を使えるのですが、
子供さんが住宅取得等資金の贈与を受けて、持ち家を所有してしまうと、
将来親御さんの相続が発生した際には、『小規模宅地等の特例』は使えなくなる、という訳なんです。
ですので、
『住宅取得等資金の贈与』を使って、子供に家を持たせるかどうかは、
・子供さん自身の考えや生活状況、
・生前贈与を考えている方の財産状況などを
よくよく加味した上で、専門家の指示を仰ぎながら判断をして頂きたいと思います。
さてここまでが、『住宅取得等資金の贈与』を利用する場合のデメリットの解説となります。
では最後に、『住宅取得等資金の贈与』を利用する場合のコレら注意点について、順番に見ていきましょう。
注意点①:住宅取得等資金の贈与の非課税枠は、贈与をする側ではなく、贈与を受ける側が基準となる
『住宅取得等資金の贈与』を利用する場合の注意点1つ目は、
住宅取得等資金の贈与の非課税枠は、贈与をする側ではなく、贈与を受ける側が基準となる、ということです。
例えば、
・親から住宅取得等資金の贈与を受けた場合
・その住宅が省エネ等住宅であれば1,000万円の非課税枠が利用出来ますよね。
ですがこれは、
・お父さんからも1,000万円の贈与を非課税で受けて、
・更にお母さんからも1,000万円の贈与を非課税で受けることが出来る、
という事ではありません。
『住宅取得等資金の贈与』の非課税枠というのは、あくまでも贈与を受ける側がベースですから、両親からの贈与の合計額が、
・住宅取得等資金の贈与の非課税枠である1,000万円と、
・暦年贈与の基礎控除額110万円の合計である、1,110万円を超えれば、
その超えた部分には贈与税が掛かります。
つまり両親合わせて2,000万円の贈与を受けた場合には、非課税枠を超える890万円部分に対して贈与税が掛かる、という点には注意をしておいて下さい。
注意点②:『住宅取得等資金の贈与』で取得した住宅は短期間で売却(賃貸)してはいけない
次に『住宅取得等資金の贈与』を利用する場合の注意点2つ目は、
『住宅取得等資金の贈与』で取得した住宅は短期間で売却や賃貸をしてはいけない、ということです。
住宅取得等資金の贈与を受けて取得した住宅を、
・短期間で売却したり、
・人に貸した場合、
その人は、この特例の適用が取り消される可能性があります。
先程8つの条件の際にも触れましたが、住宅取得等資金の贈与を利用する条件の中には、
・贈与を受けた方は、翌年の3月15日までに対象となる住宅に住んでいること、
・若しくは3月15日までに工事が終わっていない場合であっても、
・必ずその年の12月31日までに対象となる住宅に住んでおくこと、という条件がありましたよね。
そのため、『住宅取得等資金の贈与』を受けて住宅を取得した方は、
最低でも、贈与を受けた翌年の12月31日までは、対象の住宅を手放したり、人に貸してはいけません。
これを守らずに、
・短期間で住宅を売却したり、
・人に貸したりした場合には、
制度の適用が取り消される可能性がありますので、気を付けておいて下さい。
注意点③:『住宅取得等資金の贈与』と『相続時精算課税制度』の安易な併用はNG
では最後に、『住宅取得等資金の贈与』を利用する場合の注意点3つ目は、
『住宅取得等資金の贈与』と『相続時精算課税制度』の安易な併用はおススメしない!ということです。
どういうことか、まず『相続時精算課税制度』についてざっくり説明しますと、
・この『相続時精算課税制度』というのは、
・祖父母や父母から子や孫に対して、生前に行った贈与については、
・最大で2,500万円まで非課税にしますよ!
・ですが贈与の合計額が2,500万円を超えれば、その後の贈与分に対しては一律で20%の税金を掛けますよ!というものです。
(※令和6年1月1日以降は年間110万円までの贈与は非課税)
この
・『相続時精算課税制度(最大2,500万円まで非課税)』と、
・『住宅取得等資金の贈与(最大1,000万円まで非課税)』は、
併用使いが可能ですので、
令和8年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受けた場合、最大で3,500万円までの金額を非課税で贈与を受けることが出来るんです。
ですので、ここまでのお話を聞かれた方は、
「この2つの制度を併用して使えば、子供が家を買う時の負担が減るし、贈与する側の財産も一度に非課税で渡せるし、一石二鳥じゃないか!」と、こう思われるかもしれません。
ですが、ちょっと待ってください!
目先の非課税額の大きさに惹かれ、安易に『相続時精算課税制度』を利用するという行為は、非常に危険です!
と言いますのも、
・この『相続時精算課税制度』を使って贈与を行った分というのは、
・相続が発生した際に、亡くなった方の財産として足し戻して、相続税の計算をする必要があるんです。
ですので、
・折角父親が生前に2,500万円の贈与を行い、自身の財産を減らしたとしても、
・相続時精算課税制度の非課税額である110万円を引いた2,390万円部分は、
・父親の相続が発生した際に、父親の財産に足し戻しされてしまいます。
(※令和6年1月1日以降は年間110万円までの贈与は非課税)
つまり生前贈与による節税効果はほとんど享受できない、ということになるんです。
それだけならまだしも、
・一度、父と子供の間で『相続時精算課税制度』を選択してしまいますと、
・もうそれ以降、子供が父親から受ける贈与に関しては、全て『相続時精算課税制度』のルールが適用され、
・もうこの二人の間では二度と、年間110万円までが非課税となる『暦年贈与』が利用出来なくなります。
(※相続時精算課税制度を利用していない関係性においては、引き続き暦年贈与は可能)
令和6年1月1日以降、相続時精算課税制度には年間110万円の非課税額が設けられるなど、使い勝手自体は非常によくなりましたが、
『暦年贈与に戻したくても、もう2度とその両者間の間においては暦年贈与には戻せない』というのは、明確なデメリット部分でもあります。
ですので現在『住宅取得等資金の贈与』と『相続時精算課税制度』の併用を考えている、という方は、
・こういったデメリット部分を十分理解した上で、
・専門家の指導の下、利用を検討して頂ければと思います。
では最後に、住宅取得資金の贈与に関して、視聴者の方からいくつか質問を頂いていますので、私からの回答と併せて紹介をして行きます。
④当該制度に関して視聴者の方々から頂いた質問とそれに対する回答
ⅰ住宅取得等資金の贈与を受けた後に相続が発生した際の取扱い
ではまず、『住宅取得等資金の贈与』に関する相談内容の一つ目は、
「親が子供に新築住宅資金として400万円を贈与し、子供が翌年税務署に住宅取得等資金の贈与として申告をしました。」
「ですが、その後一定期間内に親が亡くなった場合は、この400万円は『贈与加算』として相続税申告の計算対象になるんでしょうか?」というものです。
この方が心配されていますように、相続税法には『相続開始前〇年以内の贈与加算』という規定がありまして、これは、
・家族に相続が発生した場合、
・被相続人の方が亡くなった当日から数えて、原則として「相続開始前7年以内(3年~7年に段階的に適用)」に行われた贈与については、
・贈与した財産額を亡くなった方の財産に足し戻して相続税の計算をしなくてはいけない、
というものです。
なので、『住宅取得等資金の贈与』で貰ったお金に関しても、
・贈与を受けた後に贈与者が亡くなってしまえば、
・亡くなった方の財産に足し戻す必要があるんじゃないかと、皆さん思いがちなんですね。
ですが『住宅取得資金の贈与』で貰ったお金というのは、この『相続開始前7年以内(3年~7年に段階的に適用)の贈与加算』の対象にはなりませんので、ご安心下さい。
(※ただし、適用要件を満たしていなかった・後から適用が取り消された場合は、贈与税or相続税の課税対象となります)
ⅱ住宅ローンの支払いでも特例は利用できる?
また、これから注文住宅を建てようと考えている方から、こういった質問もよく頂きます。
「良い土地が見つかったので、親から資金援助を受けて先に土地だけを購入したいのですが、これも非課税になりますか?」というものです。
結論から言いますと、これは非常に危険な落とし穴があります!
この『住宅取得等資金の贈与』という制度は、名前の通り、あくまでも
・「人が住むための家屋(建物)」を取得するための制度であり、
・「土地」だけを取得するための制度ではないんですね。
もちろん、
・土地と建物をセットで購入する場合や、
・建物と一緒に土地を購入する場合には、
土地代金に充てた贈与資金も非課税の対象になります。
ですが、質問者さんの様に「先に土地だけを購入する場合」には、
・贈与を受けた翌年の3月15日までに、その取得した土地の上に住宅用家屋を新築し、
・受贈者がその家屋を所有していること(※新築に準ずる状態を含む)、
これが、土地代金について特例を受けるための絶対条件になるんです。
(※贈与を受けた翌年の3月15日までに棟上げ完了状態でもOK)
ですので、もし、
・親からお金をもらって土地を買ったけれど、
・ハウスメーカーとの打ち合わせが長引いて、
・翌年の3月15日になっても、まだ建物が棟上げ状態にすらなっていなかった…。
となってしまいますと、土地購入のために親から貰ったお金は特例の対象外となり、
暦年贈与の基礎控除額110万円を超える部分に対し、贈与税がかかってしまう、
という点には注意が必要です。
特に「注文住宅」の場合は、土地探しから契約、着工までに予想以上の時間がかかるケースも多いです。
ですので、「土地だけ先に買う」という場合には、建物の工事スケジュールまで入念に計画を立てた上で、資金の贈与を受けるようにして下さい。
まとめ
それでは今回の記事のまとめです。
今回は「【2026年最新版】住宅取得資金の贈与は最高で1,000万円までが非課税!特例を利用するために必要な〝8つの条件〟」というテーマのもと、
①住宅取得等資金の贈与とは、令和8年12月31日までの間に、両親や祖父母からマイホーム資金の援助を受ける場合、省エネ等住宅なら最大1,000万円までが非課税となる太っ腹な制度
②特例の適用には『8つの厳格な条件』があるため、各項目を漏れなくクリアし、適切に申告をする必要がある
③贈与資金はあくまで「住宅の取得等の対価」に充てる必要があり、住宅ローンの返済や家具家電の購入に使ってしまうと、その部分は通常の贈与として課税対象になってしまう
④制度を使って持ち家を取得することで、将来親の相続が発生した際、「小規模宅地等の特例(家なき子特例)」が適用できなくなる点には注意が必要
⑤「相続時精算課税制度」との併用は可能だが、一度選択すると暦年贈与に戻れない等の制約も発生するため、将来の相続全体を見据えた慎重な判断が必要である、という内容についてお話しました。

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