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【代償分割】実家を共有名義にせず兄弟で平等に相続する方法!遺産分割協議書の書き方を間違えると贈与税が発生します

谷口裕之輔(税理士・元国税調査官)
お客様からのご質問

先月母が亡くなりました。相続人は兄と私の2人で、遺産は自宅(評価額3,000万円)と預金500万円のみです。

兄は実家にこのまま住み続けたいと言っています。平等に遺産分割するには、自宅を2人の共有名義にするしかないのでしょうか?

結論から申し上げますと、自宅を共有名義にする必要はありません。

『代償分割』を活用すれば、お兄さんが自宅に住み続けながら、質問者さんとも平等に遺産を分けることが可能です。

ただし、代償分割を行う際は遺産分割協議書の書き方に注意が必要です。書き方を誤ると、受け取ったお金に贈与税が課されてしまうおそれがあります。

なぜそうなるのか、順番に見ていきましょう。

①共有名義は「問題の先送り」に過ぎません

共有名義は一見平等に見えますが、実務の現場では、後々トラブルの火種になるケースを数多く見てきました。

共有名義の不動産には、次のような問題があるためです。

・売却や建て替えに共有者全員の同意が必要になる
・共有者が亡くなるたびに、権利がその子供(甥・姪)へと枝分かれしていく

その結果、『権利関係』が非常にややこしくなる可能性が高いんです。

不動産は「分けられない財産」

とはいえ、今回のように遺産の大半が自宅の場合、単純に分けようとすると、どうしても不公平が生じます。

・遺産総額:自宅3,000万円+預金500万円=3,500万円
・1人あたりの法定相続分:3,500万円×1/2=1,750万円
・お兄さん:自宅3,000万円
・質問者さん:預金500万円
・結論:2,500万円もの差が発生

この差を埋めるために、多くの方が「とりあえず共有名義」を選んでしまうわけです。

法定相続人や法定相続分の考え方について詳しく知りたい方は、
「【基礎知識】相続が発生した際の法定相続人って誰?正確に把握しておかないと『遺産分割協議自体』が無効になります!」もあわせてご覧ください。

あわせて読みたい
(相続順位図あり)相続の法定相続人の範囲と相続割合を網羅的に解説!
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②解決策は「代償分割」

そこで検討したいのが『代償分割』です。

代償分割とは、

・相続人の1人が不動産をまるごと相続し、
・その代わりに、他の相続人へ現金(代償金)を支払う

という分け方です。

今回のケースに当てはめると、以下のようになります。

・お兄さん:自宅3,000万円-代償金1,250万円=1,750万円
・質問者さん:預金500万円+代償金1,250万円=1,750万円
・結論:2人とも1,750万円で完全に平等

お兄さんは住む家を失わず、質問者さんも現金で法定相続分を受け取れる、というわけです。

鍵を握るのは「支払う側の資力」

ただし、代償分割は「支払う側にお金があること」が大前提です。

つまり、自宅を取得する人が、代償金を支払えるだけの資力を持っているかという視点で考えることが重要です。

お兄さんの手元資金が足りない場合は、

・「毎年○○万円ずつ支払う」といった分割払いにする
・金融機関から借り入れて支払う

といった方法も考えられます。

それでも難しい場合は、自宅を売却して現金を分ける『換価分割』も選択肢に入れる必要があります。

③代償分割は必ず「遺産分割協議書」に記載する

「よし分かった!じゃあ代償分割を使って、公平に遺産分けをしよう!」と思っても、ちょっと待ってください。

ここで注意していただきたいのが、遺産分割協議書の書き方です。

遺産分割協議書に「代償分割である旨」と金額、支払方法を記載しておけば、質問者さん(長女さん)が受け取るお金はすべて「相続」の扱いとなります。

遺産分割協議書の記載例


遺産分割協議書

被相続人 山田花子(令和○年○月○日死亡)の遺産について、相続人全員で協議し、次のとおり合意した。

1.山田太郎は、次の不動産を取得する。
 (土地)○○市○○町○番○
 (建物)同所 家屋番号○番○

2.山田○子は、次の預金を取得する。
 ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○

3.山田太郎は、1の不動産を取得する代償として、山田○子に金1,250万円を令和○年○月○日までに支払う。

令和○年○月○日
 住所 山田太郎 ㊞(実印)
 住所 山田○子 ㊞(実印)


遺産分割協議書の作成方法全般については、
「【保存版】遺産分割協議書を自分で作る方法(文例集)と作成する際の注意点」で詳しく解説しています。

あわせて読みたい
【保存版】絶対に失敗しない遺産分割協議書の作成方法!作成時の注意点も解説
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記載がないと「兄から妹への贈与」になってしまう

一方、遺産分割協議書には「兄が自宅、妹が預金」とだけ書き、後からお兄さんに1,250万円を渡してもらうと、それは「兄から妹への贈与」となり、次の贈与税が発生してしまいます。

・贈与額:1,250万円
・基礎控除後:1,250万円-110万円=1,140万円
・贈与税(一般税率):1,140万円×45%-175万円=338万円
・結論:同じ1,250万円でも手取りは912万円に目減り

まとめ

遺産の大半が自宅という場合でも、共有名義にする必要はありません。

代償分割を使えば、自宅を相続する人は住み続けられ、他の相続人も法定相続分を現金で受け取ることができます。

ただし、代償分割を行う際は『遺産分割協議書』の書き方一つで税額が大きく変わります。実際に実行される際には、慎重に手続きを進めていただくか、相続専門の税理士にご依頼されることをおすすめします。

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谷口裕之輔
谷口裕之輔
相続専門の税理士/元国税調査官
税務調査官として45年にわたり相続税・贈与税の調査に従事。 退官後、姫路市で相続専門の税理士事務所の代表を務める。YouTube「相続専門チャンネル」(登録者17万人)でも情報を発信中。
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