【国税OBが語る】相続税の「お尋ね」が届かなければ税務調査は来ない?その判断は危険です
結論から申し上げますと、お尋ねが届かなかったことも、申告期限を過ぎたことも、「税務調査が来ない」理由にはなりません。
お父様の財産が相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回っていれば申告は不要で、調査を心配する必要もありません。
しかし基礎控除を超えている場合、税務署は申告期限から原則5年間さかのぼって課税できます。
なぜそうなるのか、順番に見ていきましょう。
①「お尋ねが届かない=相続税はかからない」は誤解です
次のように考えている方は少なくありません。
・「お尋ねが届かなかった=相続税は掛からない」
・「申告期限を過ぎた=もう調査は来ない」
しかし、どちらも大きな誤解です。
お尋ねはすべての家庭に届くわけではない
「相続についてのお尋ね」は、税務署が死亡通知や内部資料をもとに選定した家庭に送る書類です。
そのため、
・選定から漏れて、そもそも届かない家庭
・申告期限を過ぎてから、たとえば期限の半年後に届く家庭
もあります。
つまり、お尋ねが届かなかったことは、「相続税が掛からない」という税務署のお墨付きではないのです。
お尋ねが届いた場合の対応や書き方については、
「【国税OBが語る】相続についてのお尋ねが届いたら〝絶対に〟回答した方が良い理由!詳しい書き方も解説!」で詳しく解説しています。

②税務署は申告期限から5年間さかのぼって課税できる
相続税を申告していない場合でも、税務署は次の期間、さかのぼって相続税を課税することができます。
・法定申告期限から原則5年間
・偽りや不正行為がある場合は7年間
2026年9月から新システム「KSK2」が稼働
さらに、2026年9月からは国税の次世代システム「KSK2」が稼働し、
・生命保険金の支払調書
・過去の所得税・贈与税の申告情報
などを、横断的に確認しやすくなりました。
申告期限が過ぎた後に、ある日突然、税務調査の電話が掛かってくる――という事態も十分に起こり得るのです。
③税務調査で無申告が発覚した場合のペナルティ
では、実際にどれくらいの負担になるのでしょうか。本来500万円の相続税が掛かるケースで比較してみます。
調査で指摘されてから申告した場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本来の相続税 | 500万円 |
| 無申告加算税(50万円まで15%) | 7.5万円 |
| 無申告加算税(50万円超~300万円まで20%) | 50万円 |
| 無申告加算税(300万円超の部分30%) | 60万円 |
| 加算税の合計 | 117.5万円 |
加算税だけで117.5万円も掛かってしまいます(さらに延滞税も掛かります)。
調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をした場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本来の相続税 | 500万円 |
| 無申告加算税(5%) | 25万円 |
| 加算税の合計 | 25万円 |
自主的に申告すれば、加算税は25万円で済みます(延滞税は別途掛かります)。
このように、
・「調査で指摘されてから申告する」のか
・「自分から申告する」のか
によって、負担額は大きく変わってくるのです。
④今からやるべきこと:まずは財産が基礎控除を超えるか確認を
まずは、次のような資料を集めてください。
・固定資産税の納税通知書
・預貯金や証券口座の残高証明書
・生命保険金の支払通知書
そのうえで、お父様の財産が基礎控除を超えるかどうかを、ご自身で確認してみてください。
基礎控除の計算方法については、
「【相続税の基礎控除】全家庭において相続税が〝0円〟になる基準を解説します!」で詳しく解説しています。

不動産や預貯金、生命保険金など、財産ごとの詳しい把握方法や、お尋ねに同封されている「相続税の申告要否検討表」の書き方は、
上で紹介したお尋ねの解説記事も参考にしながら、お父様の財産の概算を確認してみてくださいね。
基礎控除を超えそうな場合や判断に迷う場合は、税務署から連絡が来る前に、相続税に詳しい税理士へ早めにご相談ください。
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