相続したお金で妻名義の住宅ローンを返済すると贈与税!?「夫婦共有の財産」にならない理由と贈与税を掛けずに返済する3つの方法
①結論:夫婦であっても贈与税が掛かります
結論から申し上げますと、「夫婦共有の財産だから贈与には該当しない」というお考えは誤りです。
相続した600万円をそのまま奥様のローン返済に充ててしまうと、「夫から妻への贈与」として奥様に約82万円の贈与税が課税されてしまうため、オススメ出来ません。
なぜそうなるのか、そして贈与税を掛けずに返済するにはどうすれば良いのか、順番に見ていきましょう。
相続したお金は「夫婦共有の財産」ではありません
民法では、
・夫婦の一方が婚姻前から持っていた財産や、
・婚姻中であっても、自分の名義で得た財産は、
その人の『特有財産(固有の財産)』になると定められています。
(民法 第762条第1項:夫婦間における財産の帰属)
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。
そして、質問者さんがお父様から相続した財産は、まさにこの『特有財産』の代表例です。
つまり、
・夫婦で一緒に暮らしていても、
・相続で得た600万円は質問者さん個人の財産であり、
・そのお金で奥様のローンを返済すれば「夫から妻への贈与」と判断されてしまう、
ということなんですね。
②600万円を一括で返済した場合の贈与税はいくら?
では、600万円で奥様のローンを一括返済した場合の贈与税を計算してみましょう。
夫婦間の贈与ですので、「一般税率(一般贈与財産用)」を使って計算します。
・贈与額:600万円
・基礎控除:▲110万円
・課税価格:490万円
・税額計算:490万円 × 30%(税率)- 65万円(控除額)
・贈与税額:82万円
金利負担を減らすための繰上返済で、82万円もの税金が掛かってしまっては本末転倒です。
贈与税を掛けずにローンを返済する3つの方法
それでは、どのような方法であれば良いのでしょうか。
主な方法は以下の3つです。
① 毎年110万円以下に分けて渡す
年間110万円以下の贈与であれば、贈与税は掛かりません。
ただし、最初から「600万円を6年に分けて渡す」と決めて贈与契約書を作ってしまうと、『定期贈与』として600万円全額に贈与税が課税される可能性がある点には注意が必要です。
定期贈与について詳しく知りたい方は、
「【国税OBが語る】毎年同じ時期に同じ金額の贈与は危険!?定期贈与のウソホントを解説!」もあわせてご覧ください。

② 奥様にお金を「貸す」
夫婦間であっても、金銭消費貸借契約書を作成し、
・返済期間や返済額を決め、
・実際に奥様の口座から返済を受けていれば、
贈与ではなく「貸付」として扱われます。
ただし、「ある時払いの催促なし」のような形では、貸付とは認められませんのでご注意ください。
③ マンションの持分を質問者さんが取得する
600万円に見合う持分を、事前に質問者さん名義にする方法もあります。
ですがこの場合は、
・登録免許税や司法書士報酬などの費用が掛かる
・ローン残高のある物件の名義変更には、金融機関の承諾が必要になる
という点で、あまり現実的とは言えません。
まとめ:「お金の持ち主」と「借金の名義人」が違えば別々の人として扱われます
夫婦であっても、
・「お金の持ち主」と、
・「借金の名義人」が違えば、
税務上は別々の人として扱われます。
「夫婦だから共有」という感覚は、日々の生活の中ではとても自然なものですが、税金の世界ではその感覚が通用しない場面も多いんですね。
ですので、奥様名義のローンについては、
・相続した600万円で質問者さんが直接返済するのではなく、
・上記①~③のいずれかの方法を用いて、
贈与税が掛からない形で完済を目指して頂ければと思います。
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