相続ニュース・コラム

『住宅取得資金の贈与』は家を2軒建てたら非課税枠も2倍になる?

谷口裕之輔(税理士・元国税調査官)
お客様からのご質問

現在、息子のためにマイホームの資金援助を考えています。

いろいろと事情がありまして、将来的には自宅とは別にもう1軒、家を建てる可能性もあります。

住宅取得資金の贈与の非課税枠は、1軒目で1,000万円、2軒目でまた1,000万円と、建てた家の数だけ使えるものなのでしょうか?それとも、何軒建てても合計1,000万円までが限度なのでしょうか?

結論から申し上げますと、たとえ息子様名義で2軒分の家を建てる予定だとしても、非課税枠は最高で1,000万円までしか利用できません。

この特例の非課税枠は「建てた家の数」ではなく、「贈与を受ける人1人につき通算いくらまで」で判定されるためです。

なぜそうなるのか、そして2軒目を建てる際に特に注意すべき点について、順番に見ていきましょう。

①非課税枠は「贈与を受ける人」1人あたりで決まります

『住宅取得資金の贈与』の非課税枠は、

・「何軒の家を建てたか」ではなく、
・「贈与を受けた人(受贈者)1人につき通算でいくらまで」

という考え方で判定を行います。

そのため、同じ方が2軒分の家を建てる予定だとしても、使える枠は以下の金額が上限となります。

・省エネ等住宅の場合:通算1,000万円まで
・その他の住宅の場合:通算500万円まで

2軒目で使えるのは「残りの枠」だけ

なお、令和6年分以降に初めてこの特例を使われる方の場合、

・1軒目の購入(省エネ等住宅)で700万円分の枠を使っていれば、
・2軒目(省エネ等住宅)の購入時に使えるのは、残りの300万円分だけ

というように、あくまでも「残額」が限度額となる点も押さえておいてください。

特例を利用するための要件全体については、
「【2026年最新版】住宅取得資金の贈与は最高で1,000万円までが非課税に!特例を利用するために必要な〝8つの条件〟を解説!」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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【2026年最新版】住宅取得資金の贈与は最高で1,000万円までが非課税!特例を利用するために必要な〝8つの条件〟
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そもそも「自分が住む家」であることが大前提です

そしてもう一つ、こちらの方がより重要なポイントになります。

この制度は、

・贈与を受けた本人が、
・自分自身で住むための家屋を取得すること

が大前提となっている制度です。

そのため、2軒目が次のような家である場合には、そもそも特例の対象外となってしまいます。

・人に貸すための賃貸用物件
・週末だけ使う別荘
・ご両親や子供さんなど、ご家族が住むための家

「枠が残っているから、2軒目にも使ってしまおう」と安易に判断してしまいますと、後から特例が否認され、多額の贈与税を支払う羽目になりかねません。ここは十分にご注意ください。

②お子さんが2人なら、それぞれに非課税枠が使えます

一方で、お子さんが2人いらっしゃって、それぞれがご自身の住む家を建てられるというケースであれば、話は別です。

この場合は贈与を受ける人(受贈者)が別々ですから、

・長男さんへの贈与:最高1,000万円まで非課税
・次男さんへの贈与:最高1,000万円まで非課税
・ご家庭全体では:合計2,000万円まで非課税

という形で、お一人ずつに非課税枠を使うことが可能です。

贈与をされる親御さんの立場から見ますと、「1人に2軒分」ではなく「お子さん1人ずつに1軒分」という形の方が、結果的に多くの財産を非課税で移転できる、というわけです。

まとめ

住宅取得資金の贈与の非課税枠について、押さえておきたいポイントは次の3点です。

・非課税枠は「物件ごと」ではなく「贈与を受ける人ごと」に通算1,000万円(省エネ等住宅の場合)
・2軒目が賃貸用、別荘、家族が住む家であれば、そもそも特例の対象外
・受贈者が別々であれば、それぞれに非課税枠が使える

住宅資金の援助は金額が大きくなりやすく、特例の適用を誤ると贈与税の負担も大きくなります。ご判断に迷われる場合は、実行前に専門家へご相談ください。

【動画でも詳しく解説しています】
住宅取得資金の贈与の特例を利用するための条件については、こちらの動画で解説しています。

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谷口裕之輔
谷口裕之輔
相続専門の税理士/元国税調査官
税務調査官として45年にわたり相続税・贈与税の調査に従事。 退官後、姫路市で相続専門の税理士事務所の代表を務める。YouTube「相続専門チャンネル」(登録者17万人)でも情報を発信中。
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