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【小規模宅地等の特例】同居の長男と別居の長女で自宅の土地を分けて相続したら特例は使える?家なき子の落とし穴を解説

谷口裕之輔(税理士・元国税調査官)

お客様からのご質問

🙋‍♂️亡くなった父親の自宅200㎡について、

父親と同居をしていた長男が100㎡を相続、
父親と別居をしており10年賃貸暮らしの長女が100㎡を相続する場合、

どちらも小規模宅地等の特例は使えるでしょうか?

結論から申し上げますと、お父さんと同居されていた長男さんが相続した部分は、小規模宅地等の特例の適用が可能です。

一方で、別居(賃貸暮らし)の長女さんが相続した部分は、残念ながら特例の適用を受けることができません。

長女さんは一見「家なき子」に当てはまりそうですが、今回のケースでは同居していた長男さんがいるため、前提条件を満たさないのです。

なぜそうなるのか、順番に見ていきましょう。

①小規模宅地等の特例とは?

この特例は、

・亡くなった方が実際に住んでいた自宅の土地を、
・「一定の要件」を満たす相続人が相続した場合、
・その土地の330㎡までを80%引きの評価で相続できる

という制度です。

評価額2,000万円の土地の場合

たとえば、相続税評価額が2,000万円の土地であれば、次のようになります。

項目金額
本来の相続税評価額2,000万円
特例による減額▲1,600万円(2,000万円×80%)
特例適用後の評価額400万円

330㎡を超える土地の場合

330㎡を超える土地であっても、特例の利用は可能です。

仮に土地が400㎡だった場合、

・330㎡分は80%引き
・残りの70㎡分は特例の適用なし

という取扱いになります。

小規模宅地等の特例の全体像や注意点について詳しく知りたい方は、
【小規模宅地等の特例】自宅の土地を8割引きで相続出来るお得な制度!利用条件と知っておくべき注意点を解説もあわせてご覧ください。

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特例を使うことができる人の条件

その上で、自宅の土地についてこの特例が使えるのは、以下の方に限られます。

① 亡くなった方の配偶者
② 亡くなった方と一緒に住んでいた同居親族
③ 亡くなった方に配偶者も同居親族もおらず、かつ3年以上自分や配偶者名義の持家に住んでいない別居親族(いわゆる「家なき子」)

長女さんが「家なき子」に当てはまらない理由

長女さんは、

・「別居親族」であり、
・「3年以上、持家に住んでいない」という条件も満たしています。

ここだけ見ると、家なき子に当てはまりそうですよね。

ですが家なき子には、その手前に**「亡くなった方に配偶者も同居親族もいないこと」**という大前提があります。

今回のケースでは、長男さんがまさに同居親族に該当しますので、この前提部分で対象外となってしまうのです。

今回のケースの結論

相続人相続した面積特例の適用
長男さん(同居)100㎡適用OK
長女さん(別居・賃貸暮らし)100㎡適用NG

②土地の分け方次第で相続税額は変わります

ここでぜひ知っておいていただきたいのが、もし長男さんが200㎡すべてを相続された場合、200㎡すべてが80%引きで相続できるという点です。

同じ土地、同じ家族であっても、

・誰が
・どれだけ相続するか

によって、相続税の金額は大きく変わってきます。

ですので、まだ相続登記や遺産分割協議が済んでいないのでしたら、

・土地は長男さんが多めに取得し、
・その分、預貯金などを長女さんに多く配分する

といった形も含めて、税額面も踏まえた上で話し合いを進めていただければと思います。

遺産分割の進め方や、話し合いの際に勘違いしやすいポイントについては
、【初心者向け】遺産分割の基礎知識と分割協議の際に勘違いしやすいポイントを解説します!で詳しく解説しています。

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    まとめ

    ・小規模宅地等の特例は、自宅の土地を330㎡まで80%引きで評価できる制度です。
    ・同居していた長男さんが相続した部分は、特例の適用が可能です。
    ・別居の長女さんは、同居親族(長男さん)がいるため「家なき子」の前提を満たさず、特例の適用を受けられません。
    ・長男さんが土地をすべて相続すれば、200㎡すべてが特例の対象になります。
    ・遺産分割前であれば、預貯金などとのバランスも含め、税額を踏まえて分け方を検討することが大切です。

    小規模宅地等の特例は、適用できるかどうかで相続税額が大きく変わる一方、要件の判定を誤りやすい制度でもあります。ご家族の状況に応じた判断に迷われた際は、相続専門の税理士へご相談ください。

    ABOUT ME
    谷口裕之輔
    谷口裕之輔
    相続専門の税理士/元国税調査官
    税務調査官として45年にわたり相続税・贈与税の調査に従事。 退官後、姫路市で相続専門の税理士事務所の代表を務める。YouTube「相続専門チャンネル」(登録者17万人)でも情報を発信中。
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