【国税OBが解説】親が家族旅行の費用を出してくれたら贈与になる?年間110万円の枠を超えないための〝支払い方〟を解説
結論から申し上げますと、ご安心ください。
お父さんが主催し、ご自身も一緒に参加する家族旅行の費用を、お父さんが旅行会社へ直接支払う形であれば、毎年の110万円の贈与とは別物として考えて頂いて問題ありません。
ただし、「お金の受け取り方」を間違えると、相続時精算課税制度の110万円(年間の基礎控除)の枠を超えてしまいます。その点を順に見ていきましょう。
①親が主催する旅行は「贈与」ではなく「親自身の支出」です
贈与税というのは、「財産をタダでもらったこと」に対して掛かる税金です。
今回のように、お父さんが自ら旅行を企画し、ご自身も参加し、代金を旅行会社に直接支払うのであれば、
・それはお父さんが家族を招待した「お父さん自身の支出」と考えるのが自然であり、
・質問者さんの手元に、お金や財産が残るわけではありません。
ですので、この旅行代が、質問者さんの相続時精算課税制度の「年間110万円」に上乗せされることはないんですね。
「親の名義で、親が直接支払う」という考え方は、車や住宅の購入でも共通するポイントです。
詳しくは「【節税】贈与税が掛からないお得な方法!子供に車や家を買ってあげる場合は親名義で買いなさい!」もあわせてご覧ください。

危ないのは「旅行代として現金を受け取る」ケース
一方で注意が必要なのは、
・お父さんから「お前たちの分の旅行代だ」と現金を受け取り、
・その現金を質問者さんが旅行会社に支払う、
といった形になる場合です。
こうなりますと、そのお金は「質問者さんがお父さんからもらったお金」となり、毎年の110万円の贈与と合算されてしまいます。
家族4人分(60万円)を現金で受け取った場合の計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎年の贈与 | 110万円 |
| 旅行代として受け取った現金 | 60万円 |
| その年の贈与合計 | 170万円 |
| 年間の基礎控除 | 110万円 |
| 基礎控除を超えた部分 | 60万円 |
この60万円部分は、2,500万円の特別控除枠に蓄積されることになります(贈与税は0円ですが、申告が必要です)。
つまり、すぐに贈与税を納めることにはならないものの、
・翌年2月1日~3月15日までに、税務署へ贈与税の申告が必要となり、
・2,500万円の特別控除の残りも、2,440万円に減ってしまう
という訳です。
②将来の相続でも差が出ます
そして、相続専門の立場から特にお伝えしたいのがこの点です。
相続時精算課税制度では、
・年間110万円の基礎控除の範囲内の贈与は、相続財産に足し戻す必要はありませんが、
・110万円を超えた部分は、何年前の贈与であっても、お父さんの相続財産に足し戻されることになります。
暦年贈与のような「7年以内」という期間の区切りはありません。
相続時精算課税制度の全体像や、よくある疑問については
「【完全保存版】2024年以降の相続時精算課税制度を徹底解説!押さえておくべき制度の概要&よく聞かれる質問7選」で詳しく解説しています。

まとめ:旅行代は「親が直接支払う」形に整えましょう
ここまでをまとめますと、お父さんが主催・参加し、旅行会社へ直接支払った旅行代は、
・そもそも贈与ではありませんので、
・相続財産への足し戻しの対象にもなりません。
一方で、旅行代を現金で受け取って60万円の超過が生じた場合、
・その60万円は、2,500万円の特別控除枠に蓄積しますし、
・贈与を受けた翌年に贈与税の申告も必要、
・さらに、将来お父さんの相続発生時に、お父さんの相続財産として足し戻されることになります。
ですので、今回の旅行については、以下の点を意識して頂ければと思います。
・予約はお父さんの名義で行い、代金もお父さんの口座やカードから直接支払う
・旅行会社の請求書や領収書は、お父さん側でキチンと保管しておく
・「旅行代として」現金を受け取ることは避ける
せっかくの喜寿のお祝いですから、お金の流れだけシッカリと整えた上で、ご家族で素敵な思い出を作ってきて下さいね。
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