【相続ニュース】生前葬の認知が拡大中!?メリット・デメリットや相続税の節税対策に使えるかも解説!
皆さんこんにちは、相続専門税理士の谷口です。
今日は「【相続ニュース】生前葬の認知が拡大中!?メリット・デメリットや相続税の節税対策に使えるかも解説!」というテーマについてお話します。
読売新聞オンラインの記事で、生前葬を行った82歳男性の特集が行われていました。
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【生前葬笑顔の花道】
https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO037671/20240802-OYTAT50020
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記事の内容としては、
・誤嚥性肺炎で約20日間の入院を強いられた82歳男性が、
・「自分で話ができるうちに、皆に生前の感謝を伝えたい」という思いから、
・自ら生前葬を開催し、大勢の参列者のもと「涙のない、明るい式」を執り行った、というものです。
この記事自体は私が直接見つけた物ではなく、事務所に来られたお客さんから、
「先生!この記事で生前葬を行った男性が紹介されているんですが、私も意識がハッキリしている内に生前葬を自腹で開こうか迷ってます。」
「生前葬を開くことで相続税の節税にもなったりしますか?」という相談を受け、記事の内容を知りました。
先に、『生前葬が相続税の節税にもなるか』という部分の結論をお話すると、
相続税の節税として使えるが、その効果は限定的であり、かつ注意点もある、というのが答えです。
そこで今回の記事では、
①生前葬ってどんなことをするの?費用は?
②生前葬を行うメリット・注意点
③生前葬は相続税の節税として使えるのか(結論:使えるが注意も必要)
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・まず初めに、生前葬ってどんなことをするの?費用はどれくらい掛かるの?という基本的な部分から、
・生前葬を行うことのメリットと注意点についても見て行き、
・最後に、生前葬は相続税の節税として使えるのかという点を、相続の専門家目線で解説していきたいと思います。
それでは本編を見て行きましょう。
①生前葬ってどんなことをするの?費用は?
ⅰ生前葬の概要
通常の葬儀というのは、亡くなった後に遺族が執り行うものですが、
・生前葬はその名の通り、
・本人が存命で、意識もしっかりしている内に行われる、新しいスタイルのお葬式となります。
■生前葬の形式
実は、生前葬には決まった形式はなく、
・レストランや自宅に親しい友人を招き会食を行う、といったものから、
・葬儀場の小ホールなどを借りて、これまでの人生を振り返るスライドショーを上映する、
・ホテルの会場を借りて立食パーティーや生演奏を行うといったように、
その内容は非常にバラエティーに富んでいます。
記事の男性の場合は、
・愛知県岡崎市の葬儀会館で、参列者約100名のもと、
・有志による民謡の歌唱や、フラメンコといった催しが行われ、
・式の最後には、主催の男性が記念撮影として参列者の席を回り「90歳までお互いに頑張りましょう」などと声掛けをされていたのが印象的でした。
つまり生前葬というのは、単なる『お葬式の前倒し』ではなく、
「自分の口で直接、生前にお世話になった人達に感謝を伝える場」として、いま認知が広がっている訳ですね。
ⅱ生前葬の費用
生前葬の費用としては、参加者数×1万5千円くらいが相場な所が多いです。
つまり、参加者が30名だったら45万円、100名だったら150万円、これに特殊な演出などを行う際には+αの費用が掛かる、といった所でしょうか。
一般葬の平均が約100万〜150万円(※お布施除く)といわれる中で、生前葬も同等か、それ以上の費用がかかることになります。
では次に、生前葬を行う際のメリットと注意点についても見ていきましょう。
②生前葬を行うメリット・注意点
ⅰ生前葬を行うメリット
■葬儀の内容や費用を自分で選択できる
生前葬を行うメリットとしては、『葬儀の内容や費用を自分で選択できる』という点が挙げられますね。
・一般葬の場合、プランや葬儀費用については、残された家族が決めることになりますが、
・生前葬の場合でしたら、プランや演出、ゲストへのおもてなしの費用等々、全て主催者自身で決めることが出来ます。
■感謝を直接伝えられる
その上で、やはり生前葬の一番のメリットとしては『生前お世話になった人達に、直接感謝の気持ちを伝えることが出来る』という点でしょう。
亡くなった後の葬儀では、どれだけ素晴らしい弔辞をもらっても、本人は直接聞くことは出来ません。
ですが生前葬の場合でしたら、自分の耳で感謝を聞き、自分の口でお礼を言える。
これは本人にとっても参列者にとっても、非常に大きな心の整理に繋がるのではないでしょうか。
■将来の家族の負担を減らすことが出来る
また、生前葬をしておけば、将来の葬儀を簡略化できるという点もメリットかもしれません。
生前葬を開いた本人が、
・家族に対して将来の葬儀の意向(家族葬でいい・直葬のみで葬儀自体は必要ない)を示しておくことで、
・相続発生後の金銭的・精神的負担も、ある程度軽減することが出来るでしょう。
ⅱ生前葬を行う際の注意点
■周囲の理解が得られにくい
一方で、生前葬の注意点としては、周囲の理解が得られにくいという点が考えられます。
・「生きているうちにお葬式なんて縁起でもない」と感じる親族もいらっしゃるでしょうし、
・まだまだ認知度の低い葬儀形態ですから、「そんな良く分からない催しを、お金を使ってまで開かなくても…」と、難色を示されるかもしれません。
自分の生前葬だからと、家族や親族に何の相談もせず進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展してしまう可能性も0ではありません。
ですので生前葬を行いたい場合は、自分の想いも大事にしつつ、周りの家族にも理解をして貰ってから進めていく、このような手順を踏まれることをオススメします。
③生前葬は相続税の節税として使えるのか(結論:使えるが注意も必要)
さて、ここからが税理士としての本番、お金の話です。
「生前葬は相続税の節税になるのか?」という点について解説します。
結論から申しますと、「生前葬は節税としての効果はあるが、その効果は極めて限定的であり、かつ注意点もある」というのが答えです。
具体的にお話しますと、
例えば、本人が自分の財産から式代として100万円を支払ったとします。
すると、当然ながら本人の手元にある現預金が100万円減りますよね。
さらに、記事のケースのように参列者へ感謝を示す場合、
「遠方から来てくれてありがとう」と交通費(お車代)として、一人2万円〜3万円程度を手渡しすることも考えられます。
もし100人の参加者がいて、一人あたり2万円を手渡した場合、合計金額は200万円。
先ほどの式代100万円と合わせれば、合計300万円の資産が減少したことになります。
仮に生前葬を希望するコチラのAさんが、資産を5,000万円持っており、
家族は配偶者と子供2人の3人の場合、この一家の相続税の基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人3人)です。
このままの状態でしたら、Aさんの資産5,000万円から基礎控除4,800万円を引いた200万円部分に対し相続税が掛かり、申告と納税が必要となります。
ですが、生前葬で300万円を使ったことで、Aさんの財産額は4,700万円となり、相続税の基礎控除以下となったことで、Aさん一家には相続税の申告も納税も必要なくなる、という訳です。
このように、Aさんにとっても非常に有意義なお金の使い方をした上で、将来家族が支払う相続税の負担、申告手続きの負担が軽減出来ますので、コチラの一家に関しては、生前葬を行う恩恵は、それなりにあるのではないでしょうか。
■効果は極めて限定的
まぁですが、この方法は確かに本人の財産額は減るのですが、あくまで「使った分が減る」という少額の圧縮に留まります。
ですので、生前葬を相続税対策のメインに据えるというよりは、「納得のいくお金の使い方をした結果、副次的に節税になった」というように、節税対策の補助的なツールとして考えられるのがベターかと思います。
私としては、
・配偶者や子供達への生前贈与も勿論大切ですが、
・今回の生前葬のように、『自分のお金を自分の為に使う』という行為も、立派な節税対策の一つだと考えております。

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