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【国税OBが語る】 贈与税の無申告がバレやすくなる!?税務署の新システム『KSK2』が2026年9月から本格スタート!

souzokutaniguchi

皆さんこんにちは、相続専門税理士の谷口です。

今日は「税務署の新システム〝KSK2〟が2026年9月から本格スタート!贈与税の無申告

は今後バレやすくなります!」というテーマについてお話します。

タイトルをご覧になった皆さんは、

「税務署の新システム『KSK2(国税総合管理システム2)』で、一体何が変わるの?」

「家族間でのお金のやりとりが、今後は全て税務署に捕捉されてしまうの?」

と不安に思われているかもしれません。

ですので、まずは先に結論からお伝えします。

2026年9月からKSK2が、全国の国税局・税務署に導入されたからといって、

・私たち国民の預金口座が24時間リアルタイムで監視される、ということはありませんし、

・また、AIが自動で各家庭内の「贈与税の無申告」を見つけ出す、ということもありません。

ここは一先ず、安心して頂いて大丈夫です。

しかし、その一方で、『KSK2』の本格導入により、

・税務署側の情報管理精度や、各種データの確認作業が、これまで以上に効率化されていくことは間違いなく、

・これまで見落とされていた『各家庭ごとの贈与税の無申告』が、税務署側に捕捉される可能性は、従来よりも確実に高まっていくでしょう。

そこで今回の動画では、

①あなたの家の贈与、本当は『無申告』になっていませんか?

②贈与税の無申告がバレた際のデメリット

③贈与税の無申告がバレるまでの具体的な流れ

④2026年9月以降『KSK2』導入で税務署の調査が更に厳しくなる

⑤これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法4選

これらの内容について、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。

今回の動画を最後まで見て頂くことで、これまでは見落とされて来た贈与税の無申告が、今後は一層、税務署から厳しくチェックされるということを、事前に知って頂けると思います。

その上で、これからの時代に心掛けておくべき、正しい贈与の方法についても解説を行いますので、ぜひ最後まで動画をご覧頂ければと思います。

また、動画を見ている途中や、動画を見終わった後において、「ウチの場合はどうなるんだろう?」「ウチも贈与税が無申告の状態になっているのかな?」といった疑問点などがありましたら、遠慮なくコメント欄でご質問ください。

出来る限り回答をさせて頂きたいと思います。

それでは本編を見ていきましょう。

目次

【この記事の内容を動画で見る】

この記事と同じ内容を、【動画】でもご覧頂けます。

記事で読みたいという方は、このまま下に読み進めて下さい。

①あなたの家の贈与、本当は『無申告』になっていませんか?

まずは、最初にコチラを見てください。

こちらは贈与税の申告が漏れやすい、代表的な5つのケースとなります。

①夫婦間・親子間で、口座のお金を気軽に移動させている

②子供の奨学金や借金、税金を親が代わりに支払った

③親子間で「ある時払いの催促なし」の貸し借りをした

④親が子供の保険料を負担し、子供が満期保険金を受け取った

⑤受贈者が相続時精算課税制度の申請や申告を忘れていた

動画をご覧の方の中にも、これら5つのようなやり取りを親族間で行ったまま、贈与税の申告自体は行っていない、若しくは失念していた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ではなぜこれらのケースで申告漏れが起こりやすいのか、順番に見ていきましょう。

ⅰ夫婦間・親子間で、口座のお金を気軽に移動させている

贈与税の申告が漏れやすいケース1つ目は、夫婦間・親子間で、口座のお金を気軽に移動させている、というものです。

たとえば、

・急に妻の車の買い替えが必要になり、夫の口座から妻の口座へ300万円を移し、そのまま妻が支払いに使った、というケースや、

・親名義の実家のリフォーム代にと、子供の口座から親の口座へまとまったお金を移動させる、といった様なケースが該当します。

こういったケースにおいて、多くの方は「単に家族間でお金を動かしただけ」と思われているかもしれません。

ですが税務上は、夫婦であっても親子であっても、それぞれの名義の預金は、原則その名義人固有の財産となります。

ですので、他の家族の口座から自分の口座に大金を移して貰ったまま、そのお金を元の所有者に戻していないという家庭については、贈与税が無申告になっている可能性があるんです。

(※お金を元の所有者に戻す行為については、贈与税は掛かりません。)

ⅱ子供の奨学金や借金、税金を親が代わりに支払った

次に、贈与税の申告が漏れやすいケースの2つ目は、子供の奨学金や借金、税金を親が代わりに支払った、というものです。

まず大前提として、

・家族間での生活費の援助や、

・子供の学費の支払いを、親や、祖父母が行う行為については、

必要な都度の支払いに限り、全額非課税でやり取りが可能です。

(※相続税法21条の3)

しかし、ここで重要なのが、『本人が支払うべき債務を本人以外が肩代わりする行為』、つまり、

・子供の奨学金や家族の税金・借金を、

・本人に返済(支払い)能力があるにも関わらず、本人以外が立て替えてしまった場合、

その行為は非課税扱いにはならず、『贈与』であると見なされてしまうんです。

ですので、債務の支払いのために、年間110万円以上の資金援助を受けているにも関わらず、翌年に贈与税の申告を行っていないというケースについては、贈与税が無申告になっている可能性があるんです。

ⅲ 親子間で「ある時払いの催促なし」の貸し借りをした

次に、贈与税の申告が漏れやすいケースの3つ目は、親子間で「ある時払いの催促なし」の貸し借りをした、というものです。

親子間でお金を貸し借りする場合、

・契約書も作らず、返済期限も決めず、

・「余裕ができたら返してくれればいいよ!」という形で、お金を貸し借りしているケースって結構あるんですね。

ですが、金銭消費貸借契約書もなく、定期的な返済実績もない場合、税務署からは「それはお金の貸し借りではなく、実質的には贈与ですよね!」と判断される可能性が非常に高いんです。

つまり、悪気は一切なかったとしても、家族の間で「ある時払いの催促なし」でお金を貸し借りしているご家庭は、税務上、完全に「贈与税の無申告状態」になっている危険性があるんです。

ⅳ 親が子供の保険料を負担し、子供が満期保険金を受け取った

次に、贈与税の申告が漏れやすいケースの4つ目は、親が子供の保険料を負担し、子供が満期保険金を受け取った、というものです。

たとえば、父親が契約者の保険があり、その満期金の受取り人が子供になっていた場合、

・子供が受け取った満期保険金は、

・父親から子供への『贈与』とみなされます。

また、契約上は子供が契約者であっても、実際には父親が保険料を負担していた場合、

この場合も、税務署が預金を調べた際に『実際の保険料負担者は父親だ!』と突き止められると、満期保険金を受け取った子供には贈与税が課税されます。

このように、保険金というのは、

・契約者(保険料の負担者)と、受取人(保険金を受け取る人)が異なっており、

・受け取った保険金の総額が年間110万円を超えるような場合、

・保険金を受け取った人には、「贈与税」が課税されるんです。

(※相続発生時の死亡保険金の場合は「みなし相続財産として」相続税がかかります)

この『受け取った保険金に対する贈与税』についても、無申告状態になっているケースは意外と多く、注意が必要です

ⅴ 受贈者が相続時精算課税制度の申請や申告を忘れていた

最後に、贈与税の申告が漏れやすいケースの5つ目は、贈与を受けた人が相続時精算課税制度の申請や申告を忘れていた、というものです。

相続時精算課税制度というのは、

・60歳以上の父母・祖父母から、

・18歳以上の子や孫に対して贈与を行う場合に使える制度で、

・贈与者1人につき最大2,500万円までの贈与を非課税で受けることが出来る制度です。

❶初年度の注意点

その上で2024年以降は、この相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が設けられました。

つまり、

・相続時精算課税制度を選択した上で、年間110万円までの贈与を行う場合、

・その110万円部分については贈与税が掛からず、将来の相続財産への足し戻しも必要ないという訳です。
(※相続開始前7年以内の贈与加算にも該当しません)

ただし、相続時精算課税制度を初めて使う年については、

・たとえ贈与額が110万円以内であっても、

・贈与を受けた人は原則として『相続時精算課税選択届出書』を、『戸籍謄本などの必要書類』と一緒に、

・贈与を受けた本人の住所を管轄する税務署へ提出する必要がありますし、

・110万円を超える贈与を受けた場合は、

・たとえその金額が、2,500万円の非課税枠内に収まっていたとしても、贈与税の申告が必要となります。

この部分を勘違いして、『相続時精算課税選択届出書』や『贈与税の申告書』を提出していないままでいると、 

本人としては「相続時精算課税制度を使ったつもり」であっても、税務上はその制度を選択したことになりません。

その結果、その年の贈与が通常の『暦年贈与』として扱われ、(こちらの式のように)

・110万円の基礎控除を超える部分に高額な贈与税が掛かるのに、

・自分は相続時精算課税制度が適用されていると思い込んでおり、贈与税を申告していない、つまり無申告の状態になってしまうんです。

1,000万円ー110万円(基礎控除)=890万円

890万円 × 30% − 90万円 = 177万円

❷2年目以降の注意点

また、この相続時精算課税制度については、2年目以降の取り扱いについても注意が必要です。

相続時精算課税制度を選択した後、

・その贈与者から年間110万円を超える贈与を受けた場合には、

・贈与を受けた人は、翌年の確定申告の時期に贈与税の申告を行う必要があります。

(※申告を忘れた場合は贈与額の20%、更に加算税・延滞税が課税されます)

ですので、「初年度に相続時精算課税選択届出書を提出しているから、もう翌年以降は何もしなくていい」という訳では、決してないんですね。

ここを勘違いしてしまうと、本人としては制度を正しく使っているつもりでも、結果的に贈与税の申告漏れと見なされてしまうんです。

ーーーー

さてこのように、贈与税の申告漏れというのは、必ずしも悪意を持って行われるものばかりではありません。

むしろ実務上は、

「家族間だから税金は関係ないと思っていた」

「生活支援や親心のつもりだった」

「貸しただけで贈与とは思っていなかった」

「申告自体が不要だと思っていた」

こういった知識不足や勘違いによって起こるケースが非常に多いんです。

ですが、知らなかったからといって、税務署から見逃してもらえる訳ではありません。

では、贈与税の無申告が実際に税務署に捕捉された場合、一体どのようなデメリットがあるのでしょうか。

②贈与税の無申告がバレた際のデメリット

贈与税の無申告が、税務署に捕捉された場合、贈与税の申告義務を怠った人には、コチラの様なペナルティやデメリットが課されることになります。

順番に見ていきましょう。

ⅰ本来納めるべき贈与税に加えて、無申告加算税や延滞税が掛かる

贈与税の無申告がバレた場合のデメリット1つ目は、本来納めるべき贈与税に加えて、無申告加算税や延滞税が掛かるというものです。

贈与税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、申告と納税を行う必要があります。

この期限までに申告をしていなかった場合、後から贈与税を納めるだけでは済みません。

期限内に申告しなかったことに対するペナルティとして、無申告加算税が課されます。

(※原則として、納付すべき税額に対して15%〜30%程度、税務調査前なら5%) 

さらに、納付が遅れた期間に応じて、延滞税も掛かります。 

(※遅れた日数に応じて年率で加算)

(※延滞税の特例により大抵の場合、1年以上の日数はカウントされません)

つまり、贈与税の無申告が数年後に指摘されると、

本来納めるべき贈与税・無申告加算税・延滞税、これらをまとめて支払うことになり、かなり重い負担になってしまうんです。

ⅱ悪質なケースでは重加算税の対象になる可能性がある

贈与税の無申告がバレた場合のデメリット2つ目は、悪質なケースでは重加算税の対象になる可能性があるというものです。

単なる知識不足や勘違いによる申告漏れであれば、通常は無申告加算税や延滞税を支払えばそれで終わりです。

ですが、たとえば、

・税務署に見つからないように現金で受け渡しをしていた

・贈与契約書を後から作成し、実際の贈与日を偽った

・調査官に対して虚偽の説明をした

・通帳や資料を意図的に隠した

このような仮装・隠ぺいがあると判断された場合には、無申告加算税ではなく、より重い『重加算税』が課される可能性があります。

無申告の場合の重加算税は、原則として40%です。

たとえば、本来納めるべき贈与税が200万円だった場合、重加算税だけでも80万円。

そこに延滞税も加わるため、最終的な負担はかなり大きくなります。

(※重加算税が課されるケースでは、延滞税の負担も大きくなります )

ⅲ税務調査そのものが大きな精神的負担になる

贈与税の無申告がバレた場合のデメリット3つ目は、税務調査そのものが大きな精神的負担になるというものです。

税務署から贈与税の無申告を疑われた場合、

調査官から「この入金は贈与ですか?」と軽く確認されて調査は終了、という訳では勿論ありません。

贈与者の通帳や、子供や孫の通帳、過去の出金履歴、不動産や車の購入状況、保険金の受取状況などをもとに、お金の出どころや流れを徹底的に確認されます。

場合によっては、

「この500万円は誰から受け取ったのか」

「贈与なのか、貸付なのか」

「貸付だと言うなら、返済実績はあるのか」

「何に使ったのか」

「贈与契約書は作成しているのか」

「そのお金は、本当に本人が自由に使える状態だったのか」 

といった点を、かなり細かく確認されることになります。

つまり税務調査では、単に“お金を受け取ったかどうか”だけではなく、そのお金が本当に贈与として成立していたのかという『実態』まで、詳しく見られることになるんです。

さらに、こうした調査をきっかけに、家族間でこれまで曖昧にしていたお金のやり取りが表面化することもあります。

その結果、税務署との問題だけでなく、兄弟姉妹間で、

「そんな贈与を受けていたなんて聞いていない!」

「親のお金を勝手に使ったのではないか」

「自分だけ不公平だ!」といった不満が出て、

過去の贈与の問題が、家族間のトラブルにまで発展してしまうこともあるんです。

ⅳ贈与税の無申告は相続発生後にバレる

さて、ここまでの話を聞いて、贈与税を無申告のまま放置しておくことが、いかに金銭的・精神的なデメリットを被るか、分かって頂けたかと思います。

ですがその一方で、

「確かに私の家では贈与税の申告を失念していて、無申告のまま放置しているけれど、それで税務署から指摘や納税の通知を受けたことなんて一度もないよ!」、という方も多いのではないでしょうか。

それはその筈で、実は税務署というのは贈与税の定期調査というのは行っていないんです。

もう少し具体的に言えば、税務署(資産課税部門)の使命というのは、

・あくまでも『各家庭において相続税が適正に申告されているか』を調べることであり、

・全国の家庭内の贈与を、逐一調査することではないんですね。

そのような訳で税務署は、

・自ら全国の家庭内の贈与を洗い出し、

・貴重な人員を割いてまで贈与税の調査は行っていない、

・その結果、たとえ各家庭において贈与税の無申告が起こっていたとしても、税務署からは何も連絡が届いていない、という訳なんですね。

ですが、当然ながら、贈与税の無申告がそのまま見逃されることはありません。

税務署というのは、

・親が生きている間は、贈与の実態を逐一調査しませんが、

・贈与者が亡くなった後、相続税の調査の中で、過去のお金の動きを徹底的に調査をします。

そして、そこで結局、過去の贈与税の無申告というのはバレるんです。

ではここからは、実際に親が亡くなってから、過去の贈与の無申告が発覚するまでの具体的な流れを、

・申告書を提出した家庭と、

・申告書を未提出の家庭とに分けて、順番に見て行きたいと思います。

③贈与税の無申告がバレるまでの具体的な流れ

ⅰ申告書を提出した家庭

まず相続が発生すると、相続税が掛かる家庭の場合には、
・相続人の方が亡くなった方の財産を集計し、
・被相続人が亡くなった日から10カ月以内に相続税の申告と納税を行う必要があります。

そしてこの相続税の申告書を受け取った調査官は、
・亡くなった方の預金残高
・過去の入出金履歴
・配偶者や子供、孫の預金残高
・不動産の取得状況
・過去に提出された所得税や贈与税の申告内容、

こういった情報を総合的に確認していく訳です。

ここで調査官が特に注目するのが、亡くなった方の口座から出て行ったお金の行き先です。

例えば、父親が亡くなった際に、父親の預金口座を調べてみると、
・亡くなる10年前に500万円
・亡くなる5年前に700万円
・亡くなる1年前に300万円
といった形で、まとまったお金が引き出されていたとします。

この場合、調査官は当然こう考えます。

「このお金は一体どこに行ったんだろう?」
「生活費として使われたのか?」
「それとも、子供や孫に渡したのか?」
「もし子供や孫に渡しているのであれば、贈与税の申告はされているのか?」

そして実際に、亡くなった方の預金口座から出て行ったお金が、子供や孫の口座に入っていた場合、

調査官はその入金について、
・正式な贈与だったのか
・単なる資金移動だったのか
・贈与税の申告が必要だが、申告はしているのか
と、これらの点を確認していくことになるんです

つまり、
・親が生きている間には、家族間の贈与の実態は税務署には捕捉されませんが、
・親が亡くなった後の相続税調査において、過去の贈与の無申告が一気に掘り起こされ、

贈与税の時効である6年以内の無申告については、贈与を受けた人に対して『贈与税+無申告加算税(15%~30%)・延滞税』が課され、

贈与税の時効である6年よりも前の無申告については、過去の贈与を丸ごと被相続人の名義預金として計上し、相続税が課されるという、2段構えで課税されることになるんです。

ⅱ申告書を未提出の家庭

ちなみに、相続発生→過去の贈与の実態を調査するという流れは、何も相続税の申告を行った家庭だけに限りません。

税務署には、毎月その地域を管轄している市役所長から、「何月何日に〇〇に住んでいる△△さんが亡くなりました」という通知が届きます。

この制度を、相続税法第58条(通称〝ゴッパチ〟)といいまして、これにより税務署は、管轄する地域で相続が発生したことを、逐一把握しているんですね。

そして市役所長から通知を受けた後、各調査官は、亡くなった方が相続税の課税対象者であるかの判断を
・第一次選定、
・第二次選定、
・第三次選定、という段階を踏んで判別し、

「この人は相続税が掛かる可能性があるのに、申告書が出ていないな」という家庭に対しては『相続税についてのお尋ね』を、

「この人は相続税が間違いなく掛かるのに、申告書が出ていないな」という家庭に対しては『相続税についてのお知らせ』を郵送することになります。

どちらの封筒にも、亡くなった方の財産額を記載して、税務署に返送する為の書類が封入されており、その返答を受けた調査官は、

先ほど解説した『申告書が提出された事案』と同様に、記載されている内容が本当に正しいのかを、過去の贈与の実態などを含め、精査していく、という流れになります。
(※お尋ねやお知らせを無視した場合は、税務調査が入る可能性が通常よりも高くなります)


ですので、
「うちは相続税の申告書を出していないから、税務署には見られていないだろう」
「相続税の申告をしていない家庭まで、税務署が調べることはないだろう」
と、この様に考えるのは、非常に危険です。

税務署は、申告書を提出していない家庭についても目を光らせているという点は、シッカリと覚えておいて頂ければと思います。

④2026年9月以降『KSK2』導入で税務署の調査が更に厳しくなる

ⅰ『KSK2』によって何が変わる?

その上で、ここからが今回の動画で最もお伝えしたい重要なポイントとなります。

冒頭でも少し触れましたが、2026年9月から、税務署が使用する情報管理システムが劇的な進化を遂げます。

現在、税務署は『国税総合管理システム(通称:KSK)』というシステムを使って、私たち国民の所得税や相続税等の申告データ、法人の売上、過去の財産情報などを一元管理しています。

これだけでも相当に強力なシステムなのですが、2026年9月からは、この次世代版である『KSK2』が本格的に導入される予定です。

これにより、
①従来までの紙中心の事務処理から、データ中心の事務処理へ移行する。(調査官の処理速度UP)
②これまで税金の種類ごとに分かれていた情報管理を、ひと繋ぎで使える仕組みへと見直す。(縦割りシステムの解消により調査の精度UP)
③特別な大型コンピュータを中心とした仕組みから、一般的な技術を使った仕組みへと移行する。(AIなどの新技術への対応力UP)

という進化を遂げることになります。

ⅱ『KSK2』はこう活用される

つまり、調査官目線からすれば、
・所得税の申告状況や、
・贈与税の申告状況、
・相続税の申告状況、

それに加え、
・不動産の取得状況や、
・過去の財産の増減額、
・親族間での不自然なお金の動き、

こういった情報を、従来よりも飛躍的に確認しやすくなるんですね。

これを調査官の実務に当てはめますと、

相続税の申告書が提出された際に、
「亡くなった方の財産が、過去の所得や保有財産の規模と比べて少なすぎないか?」
「亡くなる前に大きく預金が減っているのに、その行き先が不明瞭ではないか?」
「子供や孫が高額な不動産や車を取得しているが、その資金の出処はどこなのか?」

こういった違和感が、これまで以上に拾われやすくなる、という訳なんです。

もちろん、最終的に調査を行うかどうかを判断するのは、あくまでも調査官の裁量に委ねられています。

KSK2が導入されたからといって、システムが自動的に税金を追徴する訳ではありません。

ですが、調査官が調査対象を選ぶ際の精度やスピードは、今後飛躍的に高まっていくでしょうし、これまでは見逃されていた贈与税の無申告も、これからは更に厳しく追及されることが予想されます。

つまり、これからの時代においては、
「親族間のことだから、多少あいまいにお金をやり取りしていても大丈夫だろう」という感覚は、かなり危険です。

今後は、家族間のお金の移動についても、
・いつ、
・誰から

・誰へ
・いくら

・贈与なのか、貸付なのか、預かり金なのか、

こういった事柄を、きちんと説明できる状態にしておくことが、これまで以上に重要となってくるんですね。

ですので最後の章では、これからの時代において心掛けておくべき、正しい贈与方法について、コチラの4つのポイントに絞って見ていきたいと思います。

⑤これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法4選

ⅰ基礎控除を超える贈与を受けたら申告・納税をしよう

これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法の1つ目は、
110万円を超える暦年贈与を受けた場合には、きちんと贈与税の申告を行うということです。

これは当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、実務上は、
「親子間のお金の移動だから大丈夫だろう」
「税務署から何も言われていないから問題ないだろう
といった感覚で、贈与税の申告をされていないケースって結構多いんです。

ですが、もう皆さんは、過去の贈与は将来的に根こそぎ追及される、ということをご存知ですよね。

さらに、これまでは見落とされてきた贈与税の無申告も、KSK2によって、捕捉されやすくなります。

ですので、
・年間110万円を超える贈与を受けた場合には、
・贈与を受けた人は翌年2月1日から3月15日までに、必ず贈与税の申告と納税を行うようにしてください。
(※その際の注意点『7年以内の贈与加算』については、後日解説動画を投稿予定です)

ちなみに、暦年贈与には『相続開始前7年以内の贈与加算』という厄介な足し戻しルールが存在します。

この贈与加算のルールを理解せずに贈与を行ってしまうと、節税対策のために行った過去の暦年贈与が全て水の泡になってしまう、という可能性もあるんです。

ですので、親族間で暦年贈与を利用される場合は、事前にコチラの動画をご覧になって頂き、適切な形で暦年贈与を行って頂ければと思います。

ⅱ相続時精算課税制度を正しく活用しよう

次に、これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法の2つ目は、相続時精算課税制度を正しく活用するということです。

1章でも触れましたが、
2024年以降は、相続時精算課税制度には年間110万円の基礎控除が設けられました。

つまり、
・相続時精算課税制度を選択した上で、年間110万円までの贈与を行う場合、
・その110万円部分については贈与税が掛からず、将来の相続財産への足し戻しも必要ないんですね。
(※相続開始前7年以内の贈与加算にも該当しません)

制度を利用する際の注意点として、
・初めて制度を使う際には、たとえ贈与額が110万円以下であっても、相続時精算課税選択届出書などの提出が必要になる、

・110万円を超える贈与を受けた場合は、その年の贈与分をシッカリと申告する必要がある。

・さらに、相続時精算課税制度は、一度選択すると、その贈与者との間では二度と暦年贈与に戻すことができない、といった、気を付けるべきポイントは複数ありますが、

これら注意点さえ守って活用すれば、相続時精算課税制度は、とても使い勝手の良い贈与方法となるんですね。

この相続時精算課税制度の利用上の注意点や、申請方法については、コチラの動画で詳しく解説しておりますので、内容が気になるという方は、ぜひ動画概要欄にあるリンクから、動画をご覧いただければと思います。

ⅲ贈与・都度贈与・預り金の範囲を把握しておく

次に、これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法の3つ目は、贈与・都度贈与・預り金の範囲をシッカリと把握しておくということです。

たとえば、親が子供や孫の生活費・教育費・医療費などを援助する場合、
必要な金額を、必要になった都度、直接その目的のために使うのであれば、いわゆる『必要な都度贈与』という取り扱いになり、贈与税は掛かりません。
(※子や孫→親・祖父母に対しても同様です)

ただし、都度贈与は何でも非課税になる魔法の制度ではありません。

将来分の生活費や学費として、数百万円をまとめて渡してしまったり、受け取ったお金を貯金や投資に回してしまった場合には、

将来、贈与者の相続発生後に、その事実が露呈し、
「これは必要な都度贈与ではなく、通常の贈与ですね」と調査官から指摘を受けることになります。

また親から、本人の生活費や医療費の支払いのために、まとまったお金を預かった場合は、そもそも『贈与』ではなく『預り金』として扱われます。

預り金は、子供が親からお金を貰った訳ではありませんので、コチラも贈与税の対象にはなりません。
(※親の相続発生時における残額には相続税が掛かります)

ただし、そのお金を何に使ったのか説明できないと、後から税務署や他の相続人から、
「実質的な贈与ではないか?」
「親のお金を使い込んだのではないか?」と疑われる可能性があります。

ですので、預り金については専用口座やメモ帳などで、いつ・何に・いくら使ったのかを必ず記録しておいて下さい。

いまお話した、都度贈与や預り金の取り扱いを正確に理解して頂くことで「これって贈与に該当してしまうのかな?」という要らぬ心配を抱えることも無くなりますからね。

都度贈与や預り金に関する詳しい内容については、コチラの動画で解説しておりますので、ぜひ皆さんにチェックして頂ければと思います。

ⅳ名義預金と疑われないように、贈与の実態を整えておく

最後に、これからの時代に心掛けておくべき正しい贈与方法の4つ目は、名義預金と疑われないように、贈与の実態を整えておく、ということです。

いま相続税の税務調査で、税務署が最も力を入れているのが、『名義預金』に関する調査です。

この『名義預金』というのは、どういったものかと言いますと、
・預金口座の名義人と、実際に預金をしている人、これが異なる預金で、
・贈与をした人が、贈与を受けた人の預金通帳やカード・印鑑を管理していて、
・贈与を受けた人が自由にお金を使えないのに、
・贈与をした人は、あげたはずのお金を自由に使える状態の預金のことを、
他の人の名義を使った預金、つまり『名義預金』といいます。

そして、ひとたび税務署から名義預金と判断されてしまうと、「そのお金は子供の財産ではなく、亡くなった親の財産として相続財産に計上してください!」という指摘を受けることになるんですね。

この名義預金の調査に関しても、『KSK2』の導入により、これまで以上に厳しい調査が行われることが予想されます。

ですので今後、親子間、もしくは祖父母と孫の間で贈与を行う際には、

①贈与契約書を作成する
②現金手渡しではなく、口座振込で行う
③通帳、印鑑、キャッシュカードは贈与を受けた本人が管理する
④必要な場合には、贈与税の申告や相続時精算課税の届出を行う
⑤贈与を受けたお金は、本人が自分の判断で使える状態にしておく
この流れをシッカリと整えておいてください。

いまお話した名義預金についても、過去にコチラの動画で、
・税務署から疑われないための”絶対ルール”と
・既に行ってしまった名義預金を今からリセットする方法について解説しておりますので、

内容が気になるという方は、動画概要欄にあるリンクから、動画をご覧いただければと思います。

まとめ

それでは今回の動画のまとめです。

今回は「税務署の新システム〝KSK2〟が2026年9月から本格スタート!贈与税の無申告
は今後捕捉されやすくなりますよ!」というテーマのもと、

①税務署は、生前贈与の定期調査は行っていないが、贈与者の相続発生後に過去の贈与を根こそぎ追及する

②贈与者が亡くなった後には、相続税の申告書を提出した家庭だけでなく、申告書を提出していない家庭についても、過去のお金の流れを精査される

③2026年9月以降に『KSK2』が導入されることで、過去の贈与の実態がこれまで以上に捕捉されやすくなる

④そのため、これからの時代は、暦年贈与・相続時精算課税制度・都度贈与・預り金・名義預金の取り扱い、これらを正しく理解し、税務署に説明できる形でお金を動かすことが重要、という内容についてお話しました。

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