【令和8年版】相続時精算課税制度を利用するための必要書類の集め方&書類の書き方を徹底解説!
2024年1月1日より『新・贈与制度』がスタートし、
・『相続時精算課税制度』に年間110万円の非課税枠が設けられたことにより、
・これまでは使い勝手が悪かった当該制度が、一躍「生前贈与の主力」へと躍り出ることになりました。
そのため、これからの生前贈与のスタンダードは、
・法定相続人には『相続時精算課税制度』を、
・法定相続人以外には『暦年贈与』を、 という使い分けが、多くの家庭における最適解となります。
このあたりの、相続時精算課税制度の詳しい内容や、各家庭における贈与の最適解については、下記記事にて詳しく解説しておりますので、気になるという方は是非チェックをしてみて下さい。
その上で、いざ「今年から相続時精算課税制度を使って贈与をしよう!」と思われても、
「具体的にどんな書類を集めればいいのか?」
「申告書の書き方はどうすればいいのか?」 といった、
手続き面において不安を感じ、制度の利用自体を躊躇っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、2024年以降の最新様式に対応した、相続時精算課税制度の完全手続きマニュアルと題しまして、こちらの6つのテーマについて解説します。
①相続時精算課税制度を利用するために必要となる書類
②戸籍謄本の集め方
③相続時精算課税選択届出書の準備方法&書き方
④贈与契約書の準備方法&書き方
⑤贈与税の申告書の準備方法&書き方
⑥作成した書類を税務署に提出する方法
2025年中に相続時精算課税制度の利用を開始された方や、2026年から利用を検討されている方については、ぜひ最後までご覧になって頂ければと思います。
それでは本編を見て行きましょう。
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記事で読みたいという方は、このまま下に読み進めて下さい。
①相続時精算課税制度を利用するために必要となる書類
ではまずは、相続時精算課税制度を利用するためにどんな書類が必要になるのか、についてですが、
必要となる書類は、2024年1月1日以降において、あなたがコチラの表のどの区分に該当するかによって変わって来ます。
【2024年1月1日以降の贈与で必要となる書類】
| ①初めて制度を使う年間110万円以下 | ②初めて制度を使う年間110万円超 | ③制度を利用している年間110万円以下 | ④制度を利用している年間110万円超 |
| ・戸籍謄本 ・相続時精算課税 選択届出書 ・贈与契約書(※自宅保管) | ・戸籍謄本 ・相続時精算課税 選択届出書 ・贈与税の申告書 ・贈与契約書(※自宅保管) | ・贈与契約書(※自宅保管) | ・贈与税の申告書 ・贈与契約書(※自宅保管) |
順番に解説しますと、
ⅰ初めて制度を使う&年間の贈与額が110万円以下
2024年1月1日以降に初めて相続時精算課税制度を使い、年間110万円以下の贈与を行う場合、必要となる書類は、
・贈与を受けた人が贈与者の子や孫であることを証明するための戸籍謄本と、
・相続時精算課税選択届出書、
・(そして)贈与契約書の3種類となります。
ここで相続・贈与に詳しい方でしたら「あれ?相続時精算課税制度って、どんなに少額の贈与であっても翌年に贈与税の申告が必要じゃなかったっけ?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
ですが2024年1月1日以降の相続時精算課税制度には、
『年間110万円までの基礎控除額』が新設されたため、贈与を行う金額が年間110万円以下の場合は、贈与税の申告自体が必要なくなったんです。
ⅱ初めて制度を使う&年間の贈与額が110万円超
逆に、2024年1月1日以降に初めて相続時精算課税制度を使い、年間110万円超の贈与を行う場合、必要となる書類は、
・贈与を受けた人が贈与者の子や孫であることを証明するための戸籍謄本と
・相続時精算課税選択届出書、
・贈与税の申告書、
・そして贈与契約書の4種類となります。
ⅲ既に制度を利用している&年間の贈与額が110万円以下
ⅳ既に制度を利用している&年間の贈与額が110万円超
次は、過去に同じ贈与者・受贈者間で相続時精算課税制度を利用している方の場合ですが、
既に制度を利用されている方は、過去の申請時において『戸籍謄本』や『相続時精算課税選択届出書』は提出済みのはずですので、それら書類は必要ありません。
そのため、
・2024年以降に年間110万円以下の贈与を行う場合は『贈与契約書』のみ、
・年間110万円超の贈与を行う場合は、『贈与税の申告書』と『贈与契約書』が必要となります。
ちなみに、皆さんがこの表のどの区分に該当していたとしても、これから集めて頂く書類の内容や書き方は全く同じです。
②の初めて制度を使う場合と、④の既に制度を利用している場合で、書面の形式や書き方が異なるといったことは一切ありませんので、その点は安心して下さい。
また、①~④全ての区分において『贈与契約書』を必要書類として掲載しておりますが、
・贈与契約書の作成自体は贈与契約において必須ではありませんし、
・申告の際に贈与契約書を税務署に提出しなければならないという決まりもありません。
ですが贈与契約書というのは、いざ相続が発生した際に、「過去に正式に贈与を受けていた」という家族内における証拠書類になりますので、是非作成し、自宅にて保管いただければと思います。
ではここまでの前提のもと、次の章からは、制度を利用するために必要となる書類の集め方・書き方について順番に見て行きましょう。
②戸籍謄本の集め方
相続時精算課税制度を利用するための必要書類1つ目は、『贈与を受けた人が贈与者の子や孫であることを証明するための戸籍謄本』です。
といいますのも、相続時精算課税制度というのは、
・制度を利用する年の1月1日時点において、
・60歳以上となる祖父母や父母から、
・18歳以上となる子や孫に対して生前贈与が行われた場合にのみ利用出来る制度です。
ですので、贈与者と受贈者の年齢・関係性を証明する『戸籍謄本』は、必ず取得する必要があります。
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ちなみに、過去に同じ贈与者・受贈者間で相続時精算課税制度を利用されている方は、既に税務署に戸籍謄本を提出済みだと思いますので、再度提出する必要はありません。
ですが、これから新しく相続時精算課税制度を始める予定の方は、戸籍謄本の提出は必須となりますので、シッカリと書類の収集を行って頂ければと思います。
また、添付する戸籍謄本については「贈与を受けた日以後に作成されたもの」である必要があります。
「数年前に取得した戸籍謄本が家にあるからそれを使おう!」というのはNGですので、必ず贈与を受けた日よりも新しい日付のものを準備するようにして下さい。
ⅰ必要な戸籍謄本は人によって違う
ちなみに、戸籍謄本を取得する際には、皆さんがコチラのスライドのどの部分に該当するかで、必要となる書類の数が変わって来ます。
①受贈者がまだ親と同じ戸籍に入っている場合
例えば、贈与を受けた人が独身で、まだ親御さんの戸籍に入っている場合は、その戸籍の中に親子間の情報が全て記載されています。
ですので、ご自身の戸籍謄本を『1通』取得するだけでOKです。
②受贈者が結婚などで親の戸籍から抜けている場合
逆に、贈与を受けた人が既に結婚をし、親の戸籍から抜けている場合、
ご自身の戸籍には「親子の関係性」のみが記載されており、「親の年齢」までは記載されておりません。
ですので、
・ご自身の戸籍謄本と、
・贈与者(親)の戸籍謄本、 合わせて『2通』を取得する必要があります。
③孫へ贈与する場合で、孫が親の戸籍から抜けている場合
次に、祖父母と孫間における贈与ですが、この場合は少し複雑で、
・孫自身の戸籍謄本と、
・孫の親(贈与者の子)の戸籍謄本 、
・贈与者(祖父母)の戸籍謄本というように、3世代分の繋がりが見えるよう、計『3通』が必要になるケースもあります。
(※受贈者が親の戸籍に在籍している場合は2通でOK)
自分以外の戸籍謄本も必要と聞くと、「わざわざ実家に頼んで本人達に戸籍を取って貰わないといけないのか…」と、少し煩わしく感じた方もいらっしゃるでしょう。
ですが、安心してください。
現在は令和6年3月から始まった『広域交付』という制度のおかげで、
本籍地が遠方にあっても、
・贈与を受けた本人が、最寄りの市役所に出向くことで、
・自分だけでなく、親や祖父母(直系親族)の戸籍謄本も、まとめて取得できるようになり、戸籍取得のハードルが大幅に軽減したんです。
ただし、戸籍を取得する際の申請書には「親や祖父母の本籍地」を正確に記載する必要がありますので、
・市役所に出向く際には、事前に親や祖父母に連絡を取り、
・「本籍地の住所」と「筆頭者の氏名」を聞いて、シッカリとメモを取ってから出向くようにして下さい。
ではその上で、広域交付制度を使った、戸籍謄本の取得方法について見ていきましょう。
ⅱ戸籍謄本の取得方法(広域交付)
■具体的な手順
広域交付制度を使った、戸籍謄本の取得手順としては、
・まず、贈与を受けた人が最寄りの市役所に出向き(※窓口申請のみ)、
・フロアの案内板や総合案内の指示に従って「戸籍の交付請求書(広域交付用)」を受け取り、
・記入スペースで交付請求書に必要事項を記入して下さい。
交付請求書の『必要な証明書』欄には、
・「全部事項証明書(謄本)」と、
・「個人事項証明書(抄本)」のチェック欄があるのですが、
・どちらを選択しても取得に掛かる費用は450円ですし、
・全部事項証明書(謄本)を取っておけば、個人事項証明書(抄本)に書かれている内容も網羅しております。
ですので、迷ったら全部事項証明書(謄本)にチェックを入れて申請を行って頂ければ問題ありません。
(※画像は姫路市の窓口用のものです。各市区町村により様式が異なります)
・交付請求書の記入が終わりましたら、整理券を発行しましょう。
・順番が来ましたら窓口に向かい、記入した交付請求書を提出した上で「広域交付で、自分と親(必要な場合は祖父母)の戸籍謄本をまとめて取得したい」旨を伝えて下さい。
・その際に、顔写真付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等)を提示し、
・必要な手数料を支払います。
そうすることで、たとえ本籍地がバラバラであっても、あなた一人が窓口に行くだけで、必要な戸籍謄本を『全て』揃えることが出来るんです。
■【広域交付を利用する際の注意点】
ちなみに、この便利な広域交付ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
まず1つ目は、必ず『顔写真付きの身分証明書』が必要になるという点です。
健康保険証などの「顔写真がない本人確認書類」では、この制度は利用できません。 ですので、必ずマイナンバーカードや免許証を持参するようにして下さい。
2つ目は、郵送での請求は対象外であるという点です。
仕事が忙しくて役所に行けないから郵送で…という場合は、従来通り『それぞれの本籍地の役所』へ郵送請求をする必要がある点にも注意が必要です。
■【コンビニ交付よりも窓口が確実】
ちなみに、「マイナンバーカードがあるなら、戸籍謄本もコンビニで取れば良いんじゃない?」と、こう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かにご自身の戸籍謄本だけであれば、コンビニでも取得は可能な場合があります。
ですが、
・今回の手続きのように「親の戸籍」も必要な場合、コンビニでは取得できませんし、
・本籍地と現住所が違う場合には事前の利用登録が必要だったりと、
下調べをせずに出向いた結果「必要な書類が揃わなかった」というケースも少なくありません。
ですので、事前の確認や登録が「面倒だ」「よく分からない」という方は、
・最初から顔写真付きの身分証と「本籍地のメモ」を持って、
・最寄りの役所窓口へ行かれることをオススメします。
窓口であれば、事前の登録などは一切不要ですし、分からない事があればその場で職員の方に聞くこともできますからね。
③相続時精算課税選択届出書の準備方法&書き方
次に、相続時精算課税制度を利用するための必要書類2つ目は、相続時精算課税選択届出書です。
この届出書は一言でいうと、
「私はこの贈与者(父・母・祖父母など)からの贈与について、今後は暦年課税ではなく相続時精算課税を選びます!」という制度選択を宣言する書類になります。
この届出書を提出しないと、両者間で行った贈与が「暦年贈与」として扱われてしまい、
110万円を超える高額な贈与を受けた場合には、多額の贈与税を支払うことになります。
ですので、これから相続時精算課税制度を利用するという方は、必ずこの『選択届出書』の提出も忘れないようにして下さい。
また、相続時精算課税制度を利用する際のもう一つの注意点としては、
・一度『相続時精算課税制度』を選択すると、
・その贈与者からの贈与については、もう二度と暦年課税には戻せない、という点があります。
ですので、この届出書は「とりあえず出してみよう」という軽い気持ちで提出するのではなく、
・相続時精算課税制度のメリットやデメリット部分をシッカリと理解した上で、
・作成、提出をするようにして頂ければと思います。
相続時精算課税制度のメリット・デメリット部分については、下記記事にて詳しく解説しておりますので、気になるという方は是非チェックをしてみて下さい。
ⅰ提出が必要な人・提出期限
ではまずは、この届出書の提出が必要な人と、提出期限について見て行きます。
相続時精算課税選択届出書の提出が必要な人とは、
「対象となる贈与者(父・母・祖父母など)との間で、これから相続時精算課税制度をスタートさせる人」になります。
つまりコチラの一家の場合、
・長男の一郎さんが、2025年中に初めて相続時精算課税制度を使い、父親から110万円の贈与を受けた場合、
・一郎さんは翌年2026年2月1日~3月31日の期間中に、相続時精算課税選択届出書の提出が必要となります。
一方で、一郎さんは既に2024年時点において、母親との相続時精算課税制度を使った110万円の贈与をスタートさせており、2025年2月1日~3月15日までの間に『相続時精算課税選択届出書』を提出しています。
その上で、2025年中にも母親から110万円の贈与を受けた場合、一郎さんは翌年2026年2月1日~3月31日の期間中に、再び『相続時精算課税選択届出書』の提出は必要となるのでしょうか?
答えはもう、皆さんお分かりですよね!
そうです、一郎さんは「母親との間で相続時精算課税制度を使いますよ!」という届出書を、2025年時点で提出しておりますので、その後の贈与については『選択届出書』の提出は必要ない、ということになります。
ちなみに、いまの説明においては、分かり易く110万円の贈与で統一しておりましたが、
・相続時精算課税制度をスタートさせた初年度においては、
・贈与を受けた金額が10万円でも、110万円でも、1,000万円でも、たとえどんな金額であっても、選択届出書の提出は必須となります。
ですので、「私が受けた贈与は相続時精算課税制度の基礎控除額である110万円以下だから、選択届出書の提出も必要ないよね!」というのは誤りですので、その点もシッカリと覚えておいて下さい。
ⅱ選択届出書の入手方法
では次に、相続時精算課税選択届出書の入手方法ですが、これは国税庁のホームページからダウンロードするのが最も手軽でオススメです。
ネット検索で「相続時精算課税選択届出書」と検索して頂くか、国税庁ダウンロードページからダウンロードをして下さい。
もちろん、お近くの税務署に出向いて頂いて「相続時精算課税選択届出書をください」と言うことで、その場で用紙を貰うことも可能です。
ⅲ選択届出書の書き方
用紙が手元に準備できましたら、実際に記入をしていきましょう。
この書類は一見難しそうに見えますが、書くべき内容は非常にシンプルです。
大きく分けて、
・いつ、どこの税務署に出すか、
・誰が貰ったか(受贈者)
・誰から貰ったか(特定贈与者)の3つのブロックを埋めるだけで完了となります。
■提出日・税務署名
まずは用紙の左上です。
・ここには、届出書を提出する「日付」と、
・贈与を受けた人(あなた)の住所地を管轄する「税務署名」を記入します。
管轄の税務署が分からないという場合は、
・国税庁HPの「税務署の所在地などを知りたい方」のページに行き、
・お住まいの郵便番号を入力することで、管轄する「税務署名」が分かります。
■贈与を受けた人の住所・氏名など
次にその右側、「相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者(子又は孫)」の欄です。
ここには、財産をもらった『あなた』の情報を記入します。
・あなたの住所、
・氏名(フリガナ)、
・生年月日、
・特定贈与者との続柄を記入して下さい。
先程の一郎さんの場合でしたら、ここは『長男』と記入します。
■贈与を受けた年
次は、贈与を受けた年をこの部分に記入します。
・令和7年に相続時精算課税で贈与を受けた人は7年、
・令和8年に贈与を受けた人は8年と記入してください。
(※令和8年に贈与を受けた場合、書類の提出日は令和9年以降となります)
■贈与者の住所・氏名など
次はその下、「特定贈与者(60歳以上の父母又は祖父母)」の欄です。
ここには、
・財産をあげた人(親や祖父母)の住所、
・氏名(フリガナ)、
・生年月日を記入します。
この時の注意点ですが、氏名や生年月日については、添付書類として取得した『戸籍謄本』を見ながら記入すれば間違いありません。
ですが、「住所欄」については注意が必要です。
というのも、戸籍謄本に載っている住所はあくまで「本籍地」であり、今住んでいる「住所」とは異なるケースが多いためです。
ですので、住所欄を記入する際は、
・親御さんの運転免許証やマイナンバーカードのコピー(写メ)を送ってもらうか、
・あるいは直接連絡を取るなどして、 必ず「現在住んでいる住所」を正確に記入するようにして下さい。
■年の途中で特定贈与者の推定相続人又は孫となった場合
その下にある「年の途中で特定贈与者の推定相続人又は孫となった場合」という欄ですが、
ここは、その名の通り「養子縁組」などで、年の途中で新たに親子関係が生じたような特殊なケースで使用する欄です。
ですので、生まれた時からずっと親子・祖父母と孫の関係であるという場合は、ここは空欄のままで問題ありません。
■添付書類のチェック
そしてその下、「 添付書類」という欄に、四角いチェックボックスがあります。
ここでは、先程解説した『戸籍謄本』が漏れなく準備できているか、『贈与を受けた日以後に作成されたものであるか』を確認し、問題がなければチェックを入れておいて下さい。
■最後に見落としがちな重要事項
さて、これで記入は終わり…と言いたいところですが、最後に用紙の一番下にある注意書きを見て下さい。
内容としては「この届出書による相続時精算課税の選択は撤回することができません」というものです。
冒頭でもお伝えしましたが、この制度は一度選択すると二度と暦年贈与には戻れません。
この注意書きを今一度しっかりと読み、制度の内容を十分に理解した上で、提出を行うようにして下さい。
これで『相続時精算課税選択届出書』の作成は完了です。
④贈与契約書の準備方法&書き方
ⅰ贈与契約書の準備方法
次に、相続時精算課税制度を利用するための必要書類3つ目は、贈与契約書です。
贈与契約書というのは、遺言書(自筆証書遺言)とは異なり自筆で書く必要はありません。
ですので、
・パソコンが自宅にある方は、パソコンを用意して頂き、
・パソコンが自宅に無い方は、A4用紙を手元に用意して頂き、これからお伝えする内容をそのまま記載してください。
ⅱ贈与契約書の書き方(金銭の贈与)
■具体的な作成手順
まずは本文中に、贈与者(甲)と受贈者(乙)がそれぞれ誰なのかを書きましょう。
次に、
● お金を幾ら贈与するのか、
● いつまでにお金を振り込むのか、
● そして贈与契約を結ぶ日を書きます。
そして最後は贈与者と受贈者の住所を書いて印刷しましょう。
贈与契約書は『贈与をした人』と『贈与を受けた人』それぞれが持っておく物ですので、2部印刷する必要があります。
あとは2部両方に署名・捺印をすれば完成です。
■贈与契約書に押印する印鑑には特に決まりはない
ちなみに贈与契約書に捺印する印鑑には特に決まりはありません。
ですので、
● 贈与を受ける側が口座を開設する際に銀行に提出した銀行印である必要もありませんし、
● また、実印である必要もなく、認印であっても正式な贈与契約書として認められます。
ですが贈与者の印鑑と受贈者の印鑑が同じものですと、『お互いの合意のもとで贈与契約が行われた』という客観的な信憑性が薄いですから、
贈与契約書に押す印鑑は、贈与をする側・受ける側で別々の印鑑を使うようにして下さい。
■署名欄の署名は極力本人が書くべき
また、「親が病気のため上手く文字が書けません、代筆での署名でも有効でしょうか?」
「子供が未就学児のためまだ文字が書けません、親が代わりに署名をしても良いでしょうか?」という質問もよく頂きます。
結論としては、『贈与契約書』というのはお互いに「贈与をします」「贈与を受けます」という合意を元に作成する文章ですので、震えた字でも構いませんから、署名欄の署名は『贈与者である親』に書いて貰うようにして下さい。
その方が却って(かえって)、贈与者本人が書いたものとして信憑性が増します。
また、贈与を受ける孫が未就学児で字が上手に書けないという場合においても同様です。
全部がひらがなであっても構いませんので、署名欄の署名は『お孫さん本人』に書いて貰うようにして下さい。
その方が贈与契約書の信憑性が増しますからね。
その上で、どうしても親御さんが文字を書けないという場合は、
・贈与契約を交わす際に他の家族(将来の相続人となる人)を同席させるか、
・贈与契約を交わす際の映像を残しておかれるなどされた上で、家族による代筆を行って頂ければ、将来のトラブルの可能性はグッと減るかと思います。
代筆を行う際、
・文字を書けない人が贈与者の場合は、贈与者の署名・実印の下に、代理人の住所の記載と署名・捺印を行って下さい。
・文字を書けない人が受贈者の場合は、受贈者の署名・実印の下に、代理人の住所の記載と署名・捺印を行って下さい。
ⅲ贈与契約書の書き方(不動産の贈与)
また、相続時精算課税制度を使って不動産の贈与を行う場合の文言は、この様になっております。
ちなみに贈与契約書を一から作成するのが面倒な場合は、インターネットで「贈与契約書 雛形」と検索をすれば、
・現金や株式の贈与の場合も、
・不動産の贈与の場合も、贈与契約書のひな形が検索結果に出て来ます。
ですので、効率的に贈与契約書を作成したい方は、それら雛形を利用されるのがいいでしょう。
ⅳ贈与契約書に貼付する収入印紙について
最後に、贈与契約書に貼る収入印紙についてですが、
・不動産以外の贈与の場合は、収入印紙は不要、
・不動産の贈与の場合は、契約書に記載する金額(評価額)にかかわらず一律200円の収入印紙を貼り付けて下さい。
収入印紙を貼り付ける場所は、スライドのように書面の左上に貼っておいて下さい。
さて、これで贈与契約書は完成となります。
では次は、相続時精算課税制度を使って年間110万円を超える贈与を行った際に必要となる『贈与税の申告書』について、その準備方法や書き方について解説していきます。
⑤贈与税の申告書の準備方法&書き方
冒頭部分でお話しましたが、贈与税の申告書というのは、
・初めて相続時精算課税制度を利用する方、既に制度を利用している方ともに、
・年間の贈与額が110万円の基礎控除額を超えている場合のみ必要となります。
【2024年1月1日以降の贈与で必要となる書類】
| ①初めて制度を使う年間110万円以下 | ②初めて制度を使う年間110万円超 | ③制度を利用している年間110万円以下 | ④制度を利用している年間110万円超 |
| ・戸籍謄本 ・相続時精算課税 選択届出書 ・贈与契約書(※自宅保管) | ・戸籍謄本 ・相続時精算課税 選択届出書 ・贈与税の申告書 ・贈与契約書(※自宅保管) | ・贈与契約書(※自宅保管) | ・贈与税の申告書 ・贈与契約書(※自宅保管) |
ですので、初めて制度を利用する場合であっても、既に制度を利用している場合であっても、年間の贈与額が110万円以下でしたら、贈与税の申告書の作成は必要ありません。
ここまでの前提を踏まえた上で、今回のケースにおいては、長男の一郎さんが、
・父親である太郎さんから300万円、
・母親の花子さんから300万円、
合わせて600万円の贈与を、令和7年12月1日に、
・更に母親の花子さんからは、令和6年12月1日に300万円の贈与を相続時精算課税制度で受けていた、というモデルケースを元に、贈与税の申告書作成方法について見ていきます。
(※令和6年の花子さんからの贈与分については既に申告済み)
贈与税の申告書作成が必要な方は、初回は勝手が分からないと思いますので、税理士に依頼をされても良いと思います。
ですが、贈与税の申告書自体は非常に作成が簡単ですので、是非この記事を参考に、ご自身でチャレンジされてみることをオススメします。
ⅰ贈与税の申告書の準備方法
ではまず最初に、贈与税の申告書を用意します。
贈与税の申告書の用紙は、
・最寄りの税務署で貰って来てもいいですし、
・ご自宅にプリンターがありましたら、国税庁のHP(贈与税の申告書等の様式一覧)からダウンロードして印刷をして下さい。
パソコンが得意な方は、国税庁のHPから確定申告書等作成コーナーにアクセスし、
・インターネット上で入力することで申告書を作成したり、
・e-taxでの申告も出来ますが、
これについては、また別の機会に解説したいと思いますので、今回は手書きでの申告書作成方法についてお話します。
申告書を国税庁のHPからダウンロードして印刷する場合、今回のケースで必要なのは、『贈与税の申告書等の様式一覧』ページの、
・『申告書第一表(令和6年分以降用)』
・『申告書第二表(令和6年分以降用)』 の2種類と なります。
この2枚の用紙の役割を簡単に説明しますと、
・「第二表」は、誰から何をもらって、相続時精算課税制度の特別控除(2,500万円)や基礎控除(110万円)をどう計算するかという「計算明細書」です。
・一方で「第一表」は、第二表で計算した結果を集計し、最終的にいくら税金を払うかを決定する「表紙」のようなものです。
ですので、書く順番としては「第二表」から先に作成し、その結果を「第一表」に転記するという流れになります。
ですので、まずはこれら書類をダウンロードして印刷をしておいてください。
ⅱ贈与税の申告書の書き方 (第二表の作成)
では実際の書き方を順番に見ていきましょう。
相続時精算課税制度を利用する場合は、まず『第二表(計算明細書)』から記入を始めます。
この第二表は、「誰から」「いくら」贈与を受け、「いくらの控除」を使うかを計算するための用紙です。
今回の一郎さんのケースでは、
・父:太郎さんから300万円
・母:花子さんから300万円 の贈与を受けていますので、
・太郎さん用の第二表を1枚、
・花子さん用の第二表を1枚、 合計2枚の第二表を作成する必要があります。
ではまず、父親である太郎さんからの贈与について、申告書を作成していきましょう。
■【贈与を受けた年分を記入】
まずは申告書の一番左上部分に、一郎さんが、父親である太郎さんから贈与を受けた年分を記入します。
贈与を受けたのは令和7年12月1日ですので、令和7年と記入してください
■【受贈者の氏名を記入】
次に用紙の右上に、贈与を受けた「一郎」さんの氏名を記入してください。
■【特例適用のチェック】
次に、左上のチェックボックスです。
ここには「租税特別措置法第70条の3第1項の規定による相続時精算課税選択の特例の適用を受けます」という項目があります。
これは、相続時精算課税制度そのものを選択するチェックボックスではなく、
住宅取得等資金の贈与を利用する場合にチェックを入れる欄です。
そのため、今回一郎さんが「住宅取得等資金の贈与」を使う場合は、忘れずにここに『チェック』を入れてください。
逆に言えば、この記事を読まれている殆どの方は、通常の贈与が目的だと思いますので、この部分にはチェックは不要です。
ⅲ特定贈与者(あげた人)の欄を記載しよう
続いて、その下の「特定贈与者の住所・氏名・生年月日」の欄です。
ここには、財産をくれた父親の情報を記入します。
枠内に、太郎さんの『住所』『氏名』『フリガナ』『続柄』『生年月日』を記入して下さい。
続柄は父親なので【1】を記入します。
(※後ほど作成するお母さんの花子さんの分の場合は【2】を記入します。)
■【貰った財産の種類を記入】
次は【どんな財産を貰ったのか】を記入します。
今回は現金300万円を令和7年12月1日に貰ったので、
・『種類』に【現金預貯金等】
・『細目』に【現金預貯金等】
・『利用区分・銘柄』に【現金】
・『財産を取得した年月日』に、【令和7年12月1日】
・『財産の価額』に【3,000,000】円と記入します。
ⅳ控除額と税額の計算をしよう(第二表)
ここからが、新しい相続時精算課税制度の重要なポイントです。
第二表の下半分にある計算コーナーを埋めていきます。
■【基礎控除額(110万円)の計算】
まず㉖の欄に、父親である太郎さんから貰った財産の合計額【3,000,000】円を記入します。
次に㉗の欄です。
ここには「特定贈与者ごとの贈与税の課税価格の合計額」を書きます。
これはカンタンに言うと、「今年、相続時精算課税を使って贈与者全員から貰った金額の合計額」です。
一郎さんは、太郎さんから300万円、花子さんから300万円、合計600万円貰っていますので、ここには【6,000,000】円と記入します。
そして㉘欄、ここに「相続時精算課税に係る基礎控除額」を記入します。
2024年以降の新制度では、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が設けられました。
これにより、贈与を受けた金額から年間110万円まで控除として差し引くことが出来るようになったのですが、これは贈与を受けた人が、『その年に使えるMaxの金額が110万円』ということになります。
つまり今回の一家のように、一郎さんは、太郎さんと花子さんから贈与を受けていますので、
・『基礎控除額110万円×2人分の220万円を使える』ということではなく、
・Max110万円の基礎控除額を贈与額に応じて按分することになります。
計算式は、110万円 ×(太郎さんから貰った額 ÷ 全体の贈与額)です。
つまり、110万円 ×(300万円 ÷ 600万円)= 55万円となります。
ですので、太郎さんの用紙の㉘欄には【550,000】円と記入して下さい。
(※もし割り切れず端数が出た場合は、原則1円未満は切り捨てになります)
そして㉙の欄には、㉖-㉘の計算結果、つまり300万円-55万円=【2,450,000】円と記入します。
■【特別控除額(2,500万円)の計算】
次に㉚~㉝欄で、おなじみの「2,500万円の特別控除」を計算します。
一郎さんは過去に太郎さんとの間で相続時精算課税制度を使っていませんので、
・㉚欄の過去に使った金額は【0】円
・㉛欄の特別控除額の残額は【25,000,000】円となります。
次に㉜の欄です。
ここには「太郎さんの申告書二表の㉙と㉛のどちらか低い金額」を記入します。
太郎さんの申告書の㉙欄は【2,450,000】円で㉛欄は【25,000,000】円ですので、
㉜の欄には【2,450,000】円と記入しましょう。
そして、忘れてはいけないのが㉝の欄です。
ここには『翌年以降に繰り越される特別控除額』を記入します。
つまり、「2,500万円の非課税枠のうち、来年以降にあといくら残っているか?」という金額ですね。
計算は、2,500万円ー㉚の【0】円ー㉜の【2,450,000】= 【22,550,000】円となります。
ですので、㉝の欄に【22,550,000】円と記入してください。
その上で、
・㉞の欄は㉙の【2,450,000】円ー㉜の【2,450,000】で【0】円になり、
・㉟欄も【0】円となります。
(※㉞㉟については0円の場合は空欄でOKです)
■【花子さんの特別控除額(2,500万円)の計算】
ちなみに一郎さんは、令和6年に花子さんから、300万円の贈与を相続時精算課税制度で受けていましたよね。
その場合、花子さんの申告書第二表に関しては、
㉖~㉙欄の金額は、先ほどの太郎さんと同じですが、
・㉖欄は【3,000,000円 】
・㉗欄は【6,000,000円 】
・㉘欄は【550,000円 】
・㉙欄は【2,450,000円 】
㉚欄以降は記載する金額がガラッと変わってきます。
具体的には、一郎さんは令和6年に、花子さんのみから300万円の贈与を受け、その時に特別控除を使っていますので、300万円ー基礎控除110万円を引いた金額は190万円です。
ですのでこの【1,900,000】を㉚の欄に記入します。
では次に㉛欄です。
ここには「特別控除額の残額」を記入します。
これはカンタンに言うと、2,500万円の非課税枠から、過去の非課税枠利用分(㉚)を引いた残りですね。
計算式としては、
25,000,000円 − 1,900,000円 = 【23,100,000】円となります。
ですので、花子さんの用紙の㉛欄には【23,100,000】円と記入してください。
次に㉜の欄です。
ここには「花子さんの申告書二表の㉙と㉛のどちらか低い金額」を記入します。
花子さんの申告書の㉙欄は【2,450,000】円で㉛欄は【23,100,000】円ですので、
㉜の欄には【2,450,000】円と記入しましょう。
次に㉝の欄です。
ここには『翌年以降に繰り越される特別控除額』を記入します。
つまり、「2,500万円の非課税枠のうち、来年以降にあといくら残っているか?」という金額ですね。
計算は、2,500万円ー㉚の【1,900,000】ー㉜の【2,450,000】= 【20,650,000】円となります。
ですので、㉝欄に【20,650,000】円と記入してください。
その上で、
・㉞の欄は㉙の【2,450,000】円ー㉜の【2,450,000】で【0】円になり、
・㉟欄も【0】円となります。
■【外国税額控除】
次は㊱の欄です。
ここには「外国税額控除後」の金額を記入します。
これは、海外にある財産の贈与などで、外国でも税金を支払っている場合、
「二重課税を防止するために日本の贈与税額から差し引ける税額」があるときに使う欄です。
ただ、今回のモデルケースでは、贈与を受けた財産は日本国内の通常の現金贈与を想定していますので、外国で税金を払っているような事情はありません。
そのため、外国税額控除は発生せず、㊱欄には太郎さんの申告書も、花子さんの申告書も【0】円を記入すればOKです。
■【納付すべき贈与税額】
次に㊲の欄です。
ここには「納付すべき贈与税額」を記入します。
つまり、最終的に税務署へ実際に納める贈与税がいくらになるのか、という金額ですね。
今回は、太郎さんからの贈与、花子さんからの贈与ともに、
・㉞欄が【0】円で、
・㉟欄(贈与税額)も【0】円、
・さらに㊱欄(外国税額控除後)も【0】円です。
ですので、当然、納付すべき贈与税額も発生しません。
よって、㊲の欄には太郎さんの申告書も、花子さんの申告書も【0】円と記入してください。
■【過去の相続時精算課税制度の利用履歴】
最後に、申告書の一番下の部分ですが、
この欄はカンタンに言うと、『過去の相続時精算課税制度の利用履歴』を記入する欄となります。
太郎さんからの贈与は今回が初めてなので、この部分は空欄で問題ありません。
花子さんの場合は、令和6年に相続時精算課税制度を使って申告をしておりますので、その履歴を書く必要があります。
・一番左の「提出・申告した税務署名」の欄に、当時申告書を提出した税務署名を書き、
・その横の「提出・申告した年分」の欄に、【令和6年分】と記入してください。
こうしておくことで、上の㉚欄に書いた【1,900,000】円が、
「いつの贈与で、どのくらい特別控除を使ったのか?」がきちんと紐づくようになります。
さて、これで第二表(計算明細書)は完成です!
第二表ができたら、あとは簡単で、二表の結果を【第一表】に書き写すだけとなります。
ⅴ第一表へ転記して仕上げよう
■【提出先の税務署&提出日を記入】
まず第一表の左上に、
・贈与を受けた人(あなた)の住所地を管轄する「税務署名」と、
・申告書をを提出する「日付」を記入します。
■【贈与を受けた年分を記入】
次に、第一表の左上に、贈与を受けた年分を記入します。
今回一郎さんが贈与を受けたのは令和7年12月1日ですので、【令和7年分】と記入してください。
■【受贈者(一郎さん)の情報を記入】
次に、第一表の上部にある「受贈者」の欄に、贈与を受けた一郎さんの情報を記入します。
具体的には、
・住所
・氏名(フリガナ)
・生年月日
・個人番号(マイナンバー)
・生年月日
・職業などを、用紙の指示通りに記入していきます。
(※ここは第二表と同じく、マイナンバーカード等を見ながら正確に記入しましょう)
■【申告書の中央部分は記載なしでOK】
次に第一表の中央部分ですが、ここは暦年贈与を受けた場合に記入する箇所となりますので、今回は記載なしでOKです。
■【第二表の結果を転記する(緑色部分)】
ここからが第一表の一番重要なところです。
第二表で計算した内容を「合算」して第一表の左下、緑色の部分⑪⑫の欄に転記していきます。
⑪の欄は、第二表の㉖の合計額を転記しますので、
今回、一郎さんは
・太郎さんから300万円
・花子さんから300万円
合計600万円の贈与を相続時精算課税で受けていますので、
⑪欄には【6,000,000】円と記入してください。
⑫の欄は、第二表の㊲の合計額を転記しますので、【0】円と記入してください。
■【第二表の結果を転記する(赤色部分)】
ついに最後、令和7年度における『暦年課税の贈与』と『相続時精算課税の贈与』の合算金額を、申告書右下の赤色部分(Ⅲ 合計)に記入していきます。
ここは、第二表の数字を集計して「最終的にいくら納めるのか」を確定させる欄です。
今回の一郎さんのケースは、相続時精算課税のみで、しかも贈与税額は【0】円でしたので、結論としてはほとんどの欄が【0】円、または空欄でOKになります。
では⑬~㉕を順番に見ていきましょう。
■【 課税価格の合計額(①+②+⑪)】
⑬の欄には、「暦年課税分(①+②)」と「相続時精算課税分(⑪)」を合算した金額を記入します。
今回のケースでは、
・暦年課税での贈与は受けていないので、
・相続時精算課税部分の合計額【6,000,000】を⑬欄に記入してください。
■【 税額の合計額(⑩+⑫)】
⑭の欄は、暦年課税分の贈与税額(⑩)と、相続時精算課税分の贈与税額(⑫)を合算した「納付すべき税額の合計金額」を書きます。
今回、暦年課税分も相続時精算課税分も、支払う税額は0円ですので、⑭欄は空欄でOKです。
■【納税猶予関係】
次に⑮~⑲欄ですが、ここは『納税猶予』という特殊な制度を使う人だけが記入する欄です。
今回のモデルケースは「現金贈与」で、納税猶予の制度は使いませんので、⑮~⑲もすべて空欄で問題ありません。
■【⑳ 申告期限までに納付すべき税額(⑭-⑮-⑯-⑰-⑱-⑲)】
⑳欄は、最終的に「申告期限までに納める税額」を計算する欄です。
計算式は用紙に書いてある通り、⑭から各種納税猶予額を引いた金額です。
今回は⑭が【0】円で、⑮~⑲もすべて【0】円ですので、⑳の欄は空欄となります。
■【㉑以降は「修正申告(訂正)」のときに使う】
ここから下の㉑~㉕は、欄の左側に「修正前の」「修正後の」と書いてある通り、一度出した申告書をあとで修正する場合に記入する欄になります。
今回のように、これから初めて提出する通常の申告であれば、ここは基本的に記載しませんので、空欄でOKです。
これで第1表も完成となります。
⑥作成した書類を税務署に提出する方法
さて、お疲れ様でした。
書類の作成が終わりましたら、最後に税務署への提出です。
提出する方法としては、
・管轄の税務署へ直接持ち込む、
・郵送で送る、
・e-Taxで送信する、 の3つの方法がありますが、
今回は紙で作成しましたので「郵送」または「持ち込み」について解説します。
まずは提出する書類一式を、クリアファイルなどにまとめましょう。
セット内容はコチラのスライドの通りです。
・贈与税の申告書:第一表・第二表(110万円超の贈与を受けた場合)
・相続時精算課税選択届出書(初めて利用する場合)
・戸籍謄本(贈与者と受贈者の関係性・年齢等が分かるもの)
・本人確認書類のコピー(マイナンバーカードの表裏両面など)
これらを封筒に入れ、『贈与を受けた人』の住所地を管轄する税務署宛に、送付または持参をしてください。
(※贈与者の住所地の税務署には送付しないように気を付けて下さい)
■申告書控えへの受付印は廃止されました
ちなみに、令和7年(2025年)1月から、税務署のルールが変わり、
「申告書控えへの収受日付印(受付印)の押印」が原則廃止されました。
ですのでこれまでのように、返信用封筒を入れて送ったり、窓口に控えを持っていったりしても、 以前のような「(正式にこの日に受け取りましたよという)税務署の受付印」は貰えなくなりました。
そこで、これからの時代の「正しい提出の証拠の残し方」を2つご紹介します。
❶郵送の場合は「特定記録郵便」を使う
紙で提出する場合、最もおすすめなのが「特定記録郵便」を使うという方法です。
郵便局の窓口で「特定記録郵便(または簡易書留)でお願いします」、といって書類一式を提出してください。
そうすると、郵便局が「○月○日に確かに引き受けました」という記録を残してくれます。
(※利用料金は350円~390円程)
税務署への提出は「消印有効(通信日付印)」ですので、
この郵便局の控えが、「期限内に提出した」という何よりの証拠になります。
ですので、「郵便局の受領証」を、必ず「申告書の控え」と一緒にホッチキスで留めて保管するようにしてください。
❷窓口の場合は「リーフレット」を受け取る
一方で、どうしても窓口で提出したい場合は、控えを持参すると、当分の間は「日付と税務署名が入ったリーフレット(紙)」を渡してくれる対応になっています。
ただ、申告書そのものにハンコは押されませんので、やはり証拠としては少し頼りない感じがしますよね。
ですので、これからの紙提出のスタンダードは、 「特定記録郵便で送って、郵便局の受領証を保管する」 これが一番確実でスマートな方法になります。
贈与を受けた場合、必要書類の提出期限は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までとなります。
相続時精算課税制度は、この期限内に各種必要書類を提出することが適用の絶対条件です。
1日でも遅れると、制度が使えず、高い税率の暦年贈与として課税されてしまうリスクがありますので、 特に郵送の場合は、期限ギリギリではなく、余裕を持って準備を進めるようにして下さい。
まとめ
それでは今回の記事のまとめです。
今回は「【令和8年版】相続時精算課税制度を利用するための必要書類の集め方&書類の書き方を徹底解説!」というテーマのもと、
①相続時精算課税制度は、令和6年(2024年)から年間110万円の基礎控除が新設されたことで、これまで以上に“使いやすい生前贈与の主力制度”へと進化した
②初めて制度を使う場合は、金額に関わらず『相続時精算課税選択届出書』と『戸籍謄本』の提出が必須であり、110万円超の贈与をした場合のみ『贈与税の申告書』の作成・提出も必要となる
③「相続時精算課税選択届出書」は初回に提出が必須となるが、一度選択すると二度と暦年贈与には戻せないため、デメリットを十分に理解した上で提出する必要がある
④贈与税の申告書は、まず第二表(計算明細書)を作成し、その結果を第一表へ転記する、という流れで作れば迷わず完成できる
⑤作成した書類は、贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署へ期限内(翌年2月1日~3月15日)に提出する必要があり、提出の証拠を確実に残すなら「特定記録郵便」を活用する方法がオススメ、という内容についてお話しました。

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