いきなりですが皆さんは、相続税の調査って、どういった家庭が選ばれやすいか分かりますでしょうか?
こういった質問をされますと、多くの方は、「財産が数億円以上もある、大金持ちの家庭だけが相続税の調査に選ばれているんじゃない?」と、こう思われたのではないでしょうか。
ですが、実はそうではありません。
税務署というのは、
・相続税の申告書が出ているかどうか、
・亡くなった方の財産額が多いか少ないか、こういった要素だけで、調査先の家庭を選んでいる訳ではないんです。
そこで今回の記事では、
「国税OBが語る相続税の調査対象に選ばれやすい家庭〝ワースト5〟」と題し、こちらの5つの家庭について、ランキング形式で、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。
【相続税の調査対象に選ばれやすい家庭〝ワースト5〟】
【ワースト⑤】不動産の数が多く評価が自己流な家庭(簡易な接触での調査も多い)
【ワースト④】税理士に依頼せず自分で相続税を申告した家庭、または無申告の家庭
【ワースト③】高所得だったのに相続税申告上の預金や有価証券が少なすぎる家庭
【ワースト②】亡くなる直前に多額の預金引き出しがある家庭
【ワースト①】家族名義の預金残高が多い家庭(名義預金)
今回の記事を見て頂くことで、
・税務調査のターゲットになりやすい家庭の特徴と、
・税務署からの無用な指摘を防ぐための防衛策が分かりますので、ぜひ最後まで記事をご覧頂ければと思います。
【ワースト⑤】不動産の数が多く評価が自己流な家庭
相続税の調査対象に選ばれやすい家庭 第5位は「不動産の数が多く、評価を自己流で行っている家庭」です。
これは本当に、税務署の目に留まりやすい項目となります。
なぜかと言いますと、不動産は現金や預金と違って、非常に評価のズレが起きやすい財産なんですね。
ⅰ不動産は評価のズレが起きやすい
亡くなった方の財産の内、相続発生日における預金残高が1,000万円であれば、相続税の申告書には、預金1,000万円と記載すればいいので、とてもシンプルです。
ですが不動産は、毎年市役所から送られてくる固定資産税の通知書の評価額通りに申告をしてしまうと、「その金額では相続税の評価額としては低すぎるので、修正申告をしてください!」と税務署から指摘が入ることになります。
なぜなら不動産というのは、
・土地であれば路線価方式や倍率方式、建物であれば固定資産税評価額を使いますし、
・路線価方式の土地においては、土地の形状や立地状況、それに周辺状況も評価に組み込む必要があります。
・さらに、土地や建物を貸していれば、貸家建付地評価や貸宅地評価といった要素も絡んでくるため、
・判断を少し誤るだけで不動産評価額の計算が狂い、納税額に大きな差が出ることに繋がるんです。
さらに土地の評価では、登記簿上の面積よりも、実際の測量面積の方が大きい、いわゆる「縄延び」のような落とし穴もあり、こういった部分も正確に評価をしなくてはいけません。
こうした点まで含めて確認が必要になりますので、不動産評価というのは見た目以上に専門性が高い分野なんです。
しかも税務署からすると、不動産は「最も把握しやすい財産」の一つでもあります。
法務局の登記情報や、市町村の固定資産課税台帳などを見れば、誰がどこにどんな不動産を持っているのか、かなりの部分が見えてきます。
つまり不動産というのは、隠しにくい上に、申告額のズレが非常に発生しやすいんです。
ですから、市街地に複数の土地や建物を持っているご家庭ほど、調査や確認の対象に入りやすい、という部分はシッカリと覚えておいて頂ければと思います。
ⅱ相続開始前の不動産購入も税務署の目に留まりやすい
ちなみに、亡くなる直前や相続開始の少し前に、不動産の購入や売却をしているケースについても注意が必要です。
こういう場合、税務署は、
「現金を不動産に変えて評価を下げようとしたのではないか?」
「相続を見越して財産の形を動かしたのではないか?」という視点で、その一家のお金の動きを注視することになります。
もちろん、正当な事情があって不動産を売買されていたのでしたら、何も問題はありません。
ただ、相続開始の前に大きな財産の動きがあると、それだけで税務署からの確認の優先順位は上がりやすい、という点は押さえておいてください。
ちなみに、不動産の調査に関しては、実際に調査官が自宅にやって来る臨宅調査も勿論ありますが、どちらかというと、電話や税務署に訪問して貰っての簡単な聞き取り調査で終わることも多いです。
これを専門用語で「簡易な調査」と言いまして、
不動産の調査に関しては、
「この土地の評価が間違っていたので、その部分だけを直して修正申告書を提出してください。」という電話のみで終わることも多いので、今回のランキングでは5位にさせて頂きました。
ⅲ税務署からの指摘を防ぐ4つのポイント
ではその上で、税務署からの無用な指摘を防ぐために、皆さんに事前に心掛けておいて頂きたい対策は、こちらの4つです。
①土地の現地状況と登記情報の内容にズレがないか、事前に確認しておく、
②取得・売却の経緯を説明できる資料をシッカリと残しておく、
③不動産評価を自己判断で完結させない、
④小規模宅地等の特例や貸家建付地評価などは要件確認を丁寧に行う、
この4点がとても重要なポイントとなります。
昨今は、Youtubeや雑誌でも不動産の評価方法に関する動画は沢山出ていますが、
・税法というものは毎年コロコロ変わりますし、
・去年は使えていた特例が、今年には使えなくなったということも頻繁に起こります。
ですので、不動産の評価をご自身で行いたいという方は、
無用な税務調査や重いペナルティを避けるためにも、事前の情報収集はしっかりと行って頂ければと思います。
・最終的な成果物については、相続専門の税理士にチェックして貰うなど、
【ワースト④】税理士に依頼せず自分で相続税を申告した家庭、または無申告の家庭
次に、相続税の調査対象に選ばれやすい家庭 第4位は「税理士に依頼せず自分で相続税を申告した家庭、または無申告の家庭」です。
ⅰ自分で相続税を申告した家庭
これを聞くと、「自分で申告すること自体が悪いことなんですか?」と思われるかもしれませんが、勿論そうではありません。
しっかりと事前に相続税の申告に関する勉強を行って頂ければ、調査官から指摘を受けない、完璧な申告書を作成することも、不可能ではありません。
ですが、先ほどの不動産の部分でもお話した通り、相続税の申告というのは、一般の方が思っている以上に複雑で、紛らわしい部分が非常に多いんです。
財産を集計して税率を掛ければ終わり、というものではなく、
・名義預金の判定や、
・生前贈与の持戻し、
・小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を正しく使えているか、
・数次相続の論点や、相次相続控除の使い方は間違っていないかなど、
判断を一つ間違えるだけで税額が大きく変わる”落とし穴”が沢山あるんですね。
実際に税務署は、相続人本人が作成した申告書を見ると、
・財産隠しといった悪意があるかどうかよりも、
・「この申告は、プロの目が入っていないから、ミスや漏れが起きている可能性が高いな」という目で見ます。
(※税理士に依頼した場合は、申告書の1枚目に税理士の名前が署名されます)
つまり、自分で申告したというだけで、すぐに調査対象に選ばれる訳ではありませんが、
税理士の署名がない申告書に比べると、あなたが提出した申告書は、より注意深くチェックされる、という部分については覚えておいて頂ければと思います。
ⅱ無申告の家庭
また税務署は、無申告の家庭についても当然目を光らせています。
この記事では、あえて詳しくは触れませんが、税務調査官というのは、
・(増差額:小)既に提出されている申告書のミスを指摘して、漏れていた部分の税金を徴収するよりも、
・(増差額:大)無申告の状態を指摘して、税金を丸ごと徴収した方が、内部からの評価が上がります。
(※不正発見(いわゆる重加算税賦課)については更に評価が上がります↗)
ですので調査官は、
・申告書を提出済みの家庭はもちろんのこと、
・それ以上に、「ウチには相続税は掛からないでしょ!」と考えて、何も申告をされない家庭についても、注意深く狙っているんです。
ⅲ税務署からの指摘を防ぐ4つのポイント
ではその上で、税務署からの無用な指摘を防ぐために、皆さんに事前に心掛けておいて頂きたい対策は、こちらの4つです。
①相続税の基礎控除額を理解し、本当に申告が不要かどうかを正しく判断する
②名義預金や過去の生前贈与など、見落としがちな財産がないか徹底的に洗い出す
③配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合は、適用要件をシッカリと確認する
④申告が必要かどうかの判定も含めて、相続専門の税理士に早めに相談する
この4点がとても重要なポイントとなります。
特に、自分で相続税の申告をされる方の場合、
「財産はこれだけしかないはずだ」
「この預金は子供の名義だから大丈夫だろう」
「うちは基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)の範囲内だから申告は不要だろう」と、
こうした思い込みで進めてしまうことが、一番危険なんですね。
ですので、
・ご自身で申告を進めたいという方は、慎重に情報収集をして頂くのは勿論のこと、
・少しでも判断に迷う点がある場合は、早めに相続専門の税理士に確認を取ること、
この2点を特に意識して頂ければと思います。
その上で、
・相続税が掛かるかどうかの判定方法や、
・不動産の概算評価の方法については、
過去の記事で詳しく解説を行っておりますので、内容を確認しておきたいという方は、コチラのリンクから、ぜひご覧になってみてください。
【ワースト③】高所得だったのに相続税申告上の預金や有価証券が少なすぎる家庭
次に、相続税の調査対象に選ばれやすい家庭 第3位は「現役時代は高所得だったのに、相続税申告上の預金や有価証券が不自然に少なすぎる家庭」です。
こちらも昔から、税務署が非常に厳しくマークしているポイントになります。
たとえば、会社経営者や、開業医、士業、あるいは大企業の役員の方など、長年しっかり稼いでいた方がいらっしゃったとします。
普通に考えれば、生活費やある程度の出費を差し引いたとしても、それなりの預金や有価証券(つまり株式や投資信託)が残っていて不思議ではありませんよね。
それなのに、いざ相続税の申告書を見ると、預金や有価証券が思った以上に少ない。
こうなると税務署としては、当然違和感を持つ訳です。
ⅰ税務署が疑う「見えないお金」の行方
ここで皆さんに知っておいて頂きたいのは、税務署というのは、提出された相続税の申告書だけを見て、調査の選定をしている訳ではありません。
・亡くなられた方の過去の所得水準や、家族構成、年齢、
・生活状況や、財産の推移なども踏まえながら、
・申告書が提出されているか、提出された申告書が適切かを、包括的に判断しているんですね。
そのため、過去の収入と現在の預金残高に大きなズレが生じていると、
「生前に多額の支出を行ったんじゃないか?」
「生前に家族に対して多額の資金援助(生前贈与)を行っていたんじゃないか?」
「申告に載っていないタンス預金などの隠し財産が、自宅に隠してあるんじゃないか?」と、疑いの目を向ける訳です。
(※家族名義の口座にお金を移す「名義預金」については第1位で詳しく解説します)
ⅱ浪費や正当な贈与も「証拠」がなければ疑われる
もちろん、
・趣味やギャンブル、夜の街での飲み代などに多額のお金を使っていた、
・子供のマイホーム購入資金として援助をした、
・孫の教育資金としてお金を出した、
このような、正当な理由でお金が減っているケースもたくさんあります。
しかし、税務調査官からすれば、
・昔はかなり稼いでいたのに、相続税の申告書に記載されている財産額が妙に少ない、
・もしくは、申告書自体が提出されていない、という時点で、どうしても強い違和感を感じます。
そして「この事案はシッカリと調べてみよう!」と、調査を進めるわけです。
ⅲ税務署からの指摘を防ぐ3つのポイント
ではその上で、税務署からの無用な指摘を防ぐために、皆さんに事前に心掛けておいて頂きたい対策は、こちらの4つです。
①施設入居費や自宅の修繕費、その他、過去の多額の出費については、領収書や振込明細などの証拠を確実に残しておく
②医療費や介護費など、塵も積もればな出費に関しても、関係書類は大切に保管しておく
②生前贈与を行った場合は、贈与契約書や贈与税の申告書控えを確実に保管しておく
③自宅に多額の現金を保管している場合(タンス預金)は、包み隠さず「手許現金」として申告する
この4点がとても重要なポイントとなります。
皆さんに覚えておいて頂きたいのは、
・多額の出費や正当な贈与があったのでしたら、
・それを「客観的に証明できる状態」にしておくこと、
これが対税務署における最大の防衛策になるんです。
ですので、高額な買い物の領収書や、過去の贈与の記録、医療費や介護費に関する書類等については、
・邪魔だから、管理が面倒だからと、直ぐに捨ててしまうようなことはせず、
・しっかりと保管しておいて頂き、税務署から「過去の財産はどこへ行ったのか?」と問われた際に、即座に説明できるようにしておいて頂ければと思います。
【ワースト②】亡くなる直前に多額の預金引き出しがある家庭
次に、相続税の調査対象に選ばれやすい家庭 第2位は「亡くなる直前に多額の預金引き出しがある家庭」です。
これは実務でも非常によくあるケースなんですが、被相続人が亡くなる直前に多額の預金を引き出される家庭というのは、毎年一定数必ずいらっしゃいます。
この多額の引き出しというのは、
・一気に数百万円、数千万円という金額を引き出している家庭もあれば、
・毎日、キャッシュカードの限度額である50万円を、数か月間に亘って引き出されている、という家庭もあります。
税務署はこのような、相続発生前における多額の預金の引き出しについても、非常に強い警戒心を抱いています。
ⅰ なぜ亡くなる直前の預金引き出しは税務署に警戒されるのか
それはなぜかと言いますと、預金は銀行口座に残っていれば、残高も動きも比較的把握しやすい財産ですよね。
ですが、そのお金が「現金」で引き出されてしまうとどうなるでしょうか。
税務署からすれば、
・その現金は今どこにあるのか?
・手許現金として残っているのか、
・葬式費用や入院費に使われたのか、
・家族に渡されたのか、
・どこか別の口座に移されたのか、
こういった部分が一気に見えにくくなるんです。
そして、こういった説明が付かないまま、
・亡くなった方の申告が無申告だったり、
・提出された申告書に、引き出された金額相当の「手許現金」が計上されていない状態ですと、
税務署としては当然、その実態を確認せざるを得なくなる、という訳です。
ⅱ 「手元現金」の計上漏れに要注意
ここで皆さんに、特に気を付けておいて頂きたいのが、
・亡くなる直前に引き出したお金は、
・口座から出しただけでは相続財産から消える訳ではない、という点です。
確かに、亡くなった方の財産を評価する場合、
現預金も不動産も、被相続人が亡くなった当日の”時価”で評価を行うことになります。
実際に相続税の申告書に計上する預金額というのは、被相続人が亡くなった当日の預金残高です。
ここまでは間違いないんですが、だからと言って直前に、もしくは数か月間を掛けて引き出された金額分を計上しなくても良いのかというと、それはまた別の話なんですね。
たとえば、被相続人が亡くなる直前に、家族が300万円を引き出していたとして、
・そのお金が死亡日時点でまだ使われていないのであれば、
・それは単に、預金が現金に姿を変えただけですよね。
ですので、相続税の申告においては、この300万円を「手許現金」として財産に計上する必要がある、という訳です。
ここを勘違いして、
「口座残高が減っているのだから、そのまま少ない金額で申告すればいい」と考えてしまいますと、
後日、税務署から「引き出された現金が申告書に載っていませんね。キチンと計上をした上で修正申告を行ってください!」と指摘を受けることになりますので、この点は注意が必要です。
ⅲ二重控除の落とし穴に要注意
また、直前に引き出した現金(仮に200万円)を、葬儀費用に充てたという場合も、少し注意が必要です。
といいますのも、ここで非常に多いのが、
「引き出した現金200万円は既に葬儀費用に充てているんだから、その分は相続財産に入れなくていいだろう!」
「その上で、葬儀費用で使った分は債務控除として、財産から引いてもいいだろう!」と考えてしまうケースです。
(※被相続人の債務や葬式費用については総財産額からの控除が可能)
ですが、相続税の考え方としては、亡くなった日時点でまだ使われていない現金については、あくまでも被相続人の財産として残っていることになります。
たとえば、
・亡くなる直前に家族が200万円を引き出しており、
・その時点ではまだ葬儀費用の支払いが済んでいなかった場合、
この場合も先程と同様に、相続税の申告時において、まずはその200万円を「手許現金」として計上する必要があります。
その上で、実際にその後、葬儀費用として200万円を支払った場合は、相続税のルールに従って、200万円を控除対象として計上することが出来る、という訳です。
間違っても、
・預金残高から引き出した200万円を「手許現金」として計上せず、
・さらに葬式費用として200万円も控除する、といった二重控除だけは、行わないようにして下さいね。
ⅳ 税務署からの指摘を防ぐ4つのポイント
ではその上で、税務署からの無用な指摘を防ぐために、皆さんに事前に心掛けておいて頂きたい対策は、こちらの3つです。
①亡くなる直前に引き出し、まだ使っていない現金は必ず「手許現金」として漏れなく計上する
②引き出した現金を支払いに充てた場合は、その使途がわかる領収書やレシートを必ず保管する
③領収書が出ない支払いは、ノートなどに「いつ・何に・いくら支払ったか」のメモを残しておく
この3点がとても重要なポイントになります。
亡くなる直前の引き出しというのは、税務署から「使途不明金」や「隠し財産(タンス預金)」として非常に疑われやすい部分です。
「引き出したお金を何に使ったのか」を客観的に証明できないと、手許現金として相続財産に足し戻されてしまう可能性も高まりますので、
・引き出した現金の行方については、
・徹底した証拠作りと適正な申告を行うよう、意識して頂ければと思います。
ⅴ 相続発生後(亡くなった後)の引き出しについて
ちなみに、「亡くなった後」すぐに預金を引き出すことは問題ないのか、という質問も、お客さんからよく頂きます。
結論としては、被相続人の死亡日翌日以降でしたら、口座から現金をいくら引き出されたとしても、税務上は何も問題ありません。
引き出したお金をわざわざ「手許現金」として申告書に足し戻す必要もないので、その点はご安心ください。
(※もちろん、引き出しにあたっては他の相続人全員の了解を得ておく必要はあります)
ですので、税務上のややこしい計算や計上ミスを防止するという意味においても、被相続人の預金というのは、
・生前に慌てて引き出されるよりも、
・亡くなった後の手続きに沿って、その都度引き出して頂いた方が安全かと思います。
「亡くなった後だったら預金口座が凍結されてしまうんじゃない?」と心配される方もいらっしゃいますが、
いまは銀行も、各家庭の葬儀情報などは把握しておりませんし、こちらから口座の解約手続きなどの申請をしない限り、預金口座が凍結されているということもありませんからね。
【ワースト①】家族名義の預金残高や有価証券が多い家庭(名義預金)
最後に、相続税の調査対象に選ばれやすい家庭 第1位は「家族名義の預金残高が多い家庭」、いわゆる「名義預金」が疑われる家庭です。
これは相続税の税務調査において、昔も今も、本当に王道中の王道とも言えるポイントになります。
ⅰ名義預金とは何か?なぜ税務署から厳しく狙われるのか?
まず大前提として、名義預金というのは、
・預金口座の名義人と、
・実際に預金をしている人、これが異なる預金のことを指します。
代表的なケースとしては、
・親や祖父母が、子供や孫に内緒で通帳を作り、そこにお金を貯め続けているケースや、
・専業主婦(主夫)の妻が、夫の給料の余りを「へそくり」として自分名義の口座に貯めているケースなどが該当しますね。
これらは、贈与の大前提である「あげます」「貰います」といった双方の合意が行われておらず、口座名義人のお金=本人のお金とは認められません。
そのため、いざ相続が発生した際には、
「子供(孫)名義の預金は、実質は親(祖父母)の財産なので、相続税の申告書に計上してください!」
「妻名義の預金は、実質は夫の財産なので、相続税の申告書に計上してください!」と、このような指摘を受けることになるんです。
■名義株にも注意が必要
ちなみに、こうした税務署からの指摘は、なにも預金だけに限った話ではありません。
株式や投資信託などの有価証券(いわゆる名義株)についても全く同じことが言えるんです。
つまり、有価証券の名義だけが子供の名義になっていても、実際に証券口座を管理・運用していたのが親であれば、
「この有価証券は実質は親の財産なので、相続税の申告書に計上してください!」と税務署から指摘を受けることになりますので、この点も含めてシッカリと覚えておいて下さい。
ⅱ税務署からの指摘を防ぐ3つのポイント
ではその上で、税務署からの無用な指摘を防ぐために、皆さんに事前に心掛けておいて頂きたい対策は、こちらの4つです。
①通帳や印鑑は、必ず「名義人本人」が管理し、自由にお金を使える状態にしておく、
②贈与契約書などの形でシッカリと証拠を残し、双方の贈与の合意(あげます・もらいます)を明確にておく、
③専業主婦のへそくりなどは、敢えてご主人に存在を明かし「贈与の合意」を取り付けておく、
④有価証券(名義株)についても、証券口座のIDやパスワード等を名義人本人が管理し、実際の運用(売買などの判断)も本人が行う、
この4点がとても重要なポイントとなります。
特に、過去から何となくお金を貯めている曖昧な口座がある場合は、そのまま放置するのは非常に危険です。
・生前のうちに正しい贈与の形にリセットしておくか、
・あるいは相続財産に含める前提で整理しておくなど、シッカリと見直しを行って頂ければと思います。
この「名義預金」というテーマは、本記事においてもワースト1位に選ばれるくらい、税務署からカナリ厳しくマークされている項目となります。
そのため当チャンネルでも、
・税務署から名義預金と疑われないための事前の防衛策や、
・既に行ってしまった名義預金を、今から合法的にリセットする方法について、過去の記事で詳しく解説を行っておりますので、
「私が管理している預金も名義預金に該当しているんじゃ・・・」、と不安に思われた方は、ぜひ一度、コチラのリンクから、内容をご覧になって頂ければと思います。
まとめ
それでは、今回の記事のまとめです。
今回は「相続税の調査対象に選ばれやすい家庭〝ワースト5〟」というテーマのもと、
①不動産の数が多く評価を自己流で行っている家庭は、税務署の目に留まりやすいため、特例の要件確認や土地の個別事情の確認など、事前の情報収集が重要
②税理士に依頼せず自分で申告を行った家庭や、無申告の家庭は、税務署の目に留まりやすいため、基礎控除の正しい理解と徹底した財産の洗い出しが不可欠となる
③現役時代は高所得だったのに相続税申告上の預金や有価証券が少なすぎる家庭は、隠し財産や生前贈与を疑われるため、過去の多額の出費については客観的に証明できる証拠を残しておくことが重要
④亡くなる直前に多額の預金引き出しがあった家庭は、使途不明金として警戒されるため、未使用分は必ず「手許現金」として計上し、支払いに充てた場合は領収書等を確実に保管しておこう
⑤家族名義の預金残高や有価証券が多い家庭は、「名義預金」として税務調査で最も厳しくマークされるため、通帳の本人管理や贈与の合意を明確にしておくなど、事前対策が必須となる、という内容についてお話しました。
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