【間もなく終了】教育資金の一括贈与(最高で1,500万円非課税)が2026年3月31日で終了!駆け込みで贈与契約をした方がいいのか?今後の教育資金の贈与方法
2025年12月19日に公表された『令和8年度税制改正大綱』にて、
教育資金の一括贈与が今年令和8年3月31日をもって終了することがアナウンスされました。
この教育資金の一括贈与というのは、
・両親や祖父母などから、30歳未満の子や孫に対して、
・『教育資金』に使用するための生前贈与を行う場合、
・金融機関を通じて教育資金非課税申告書を税務署に提出することにより、
・最高で1,500万円までの贈与が非課税になる、というものです。
通常、1,500万円もの金額を親子間(若しくは祖父母や孫の間)で贈与した場合、贈与を受けた側には366万円もの贈与税が課税されます。
1,500万円ー110万円(基礎控除)=1,390万円
1390万円×40%(特例税率)-190万円(控除額)= 366万円
(※受贈者の年齢は18歳以上とする)
それが『教育資金の一括贈与』を使うことによって、無税でお金の受け渡しが出来る訳ですから、子や孫への贈与を考えている家庭にとっては、非常に良い制度に思えますよね。
ではなぜ、この一見素晴らしい制度に見える『教育資金の一括贈与』が、今年の3月末で終了してしまうのでしょうか。
そこで今回の記事では、コチラの5つのテーマについて解説を行います。
①教育資金の一括贈与の概要
②節税メリットの厳格化により使い勝手が大改悪
③期限までに「駆け込み」で契約すべきなのはどんな家庭?
④駆け込みで契約する場合は2026年3月中旬までがデッドライン
⑤2026年4月以降の教育資金贈与の最適解は?
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①教育資金の一括贈与の概要
ⅰ制度の概要
まずは、今回終了が決まった「教育資金の一括贈与」という制度が、どういったものかについて、今一度おさらいしておきます。
この制度は、
・両親や祖父母(直系尊属)などから、30歳未満の子や孫に対して、
・『教育資金』に使用するための生前贈与を行う場合、
・金融機関を通じて教育資金非課税申告書を税務署に提出することにより、
・最高で1,500万円までの贈与が非課税になる、というものです。
(※受贈者の前年分の合計所得金額が1,000万円を超えていると利用不可)
■教育資金の範囲
非課税となる教育資金の範囲としては、学校等への支払いはもちろん、「塾・習い事・交通費等」も対象となります。
ですが、塾や習い事などについては年齢による一定の制限があり、
「23歳に達した日の翌日以後」の支払いに関しては、非課税の対象からは除外されます。
(※教育訓練を受講するための費用は、23歳以上でも非課税の対象)
■使い切れなかった残額には贈与税がかかる
また、教育資金の一括贈与は、子や孫一人につき1,500万円までの教育資金が非課税となりますが、
・もしも子や孫が30歳までに、贈与を受けた金額の全てを使い切れなかった場合、
・その残額には贈与税(10~55%)が掛かります。
つまり孫が、教育資金の一括贈与として祖父から1,000万円を貰ったけれど、
30歳になった時点で、400万円のお金が金融機関の口座に残っていた場合、
・残額400万円から
・暦年贈与の非課税枠となる110万円を引いた290万円部分に対し、
・33万5千円の贈与税が課税される、という部分には注意が必要です。
(※30歳時点において在学中&延長届を提出することで30歳以後の継続も可能)
さてここまでが、教育資金の一括贈与の概要となります。
その上で次の章では、「なぜこの制度が終わるのか?」に直結するポイント、
『節税メリットの厳格化とその歴史』について見ていきます。
②節税メリットの厳格化により使い勝手が大改悪
「1,500万円まで非課税」という言葉だけを聞くと、この教育資金の一括贈与が非常に魅力的な節税対策に見えますよね。
しかし実は、2021年税制改正により、この制度の「相続税の節税力」は、以前とは比べものにならない程に弱まってしまいました。
■「亡くなる直前の贈与」が通用しなくなった
どういうことか、順を追って解説しますと、
2019年3月31日までのこの制度は、
・一度金融機関で専用の口座を開設し、教育資金を入金しておけば、
・贈与者が亡くなっても、口座に残っているお金は相続財産に戻らないといった、強力な節税効果がありました。
これにより、
・亡くなる直前に1,500万円を専用口座に入れることで、
・贈与者の財産を一気に1,500万円分減らすことが出来るという、
非常に即効性の高い節税効果を実現していたんです。
しかしこの取り扱いは、2021年4月1日の税制改正において、大きく制限が掛かることになりました。
■2021年税制改正
具体的には、
・2021年4月1日から2023年3月31日までの間に、教育資金の贈与契約を締結した場合、
・それ以降の『全ての期間』において相続が発生した際には、
・贈与を受けた残額について、亡くなった人の相続財産として足し戻す必要がある、という取り扱いになったんです。
(※更に孫やひ孫への贈与の場合は、足し戻された残額部分に対して2割加算)
この取り扱いは2026年3月31日の制度終了期間まで適用されますので、
・元々そこまで利用されていなかった当該特例の利用率が更に下がり、
・今年2026年3月31日をもって終了を迎える、という流れとなりました。
③期限までに「駆け込み」で契約すべきなのはどんな家庭?
ⅰ相続発生時に受贈者の年齢が23歳未満の場合は恩恵あり
さて、ここまで見て来られた方の中で、今もなお『教育資金の一括贈与』に魅力を感じている方はいらっしゃるでしょうか?
そもそも、この制度を使わなくても、
・教育資金が必要な都度、子や孫に贈与をしてあげれば、
・税務署はそのお金に対し、贈与税は課税していないんです。
その上で、使い残した残額に対する課税条件も厳しくなり、節税効果も激減しましたから、今更この制度を使っても、もう何のメリットも無いように思えますよね。
ですが、実はそうでもありません。
確かに2021年4月1日の税制改正によって、
・贈与を受けた残額は亡くなった方の相続財産として足し戻されることになり、
・早急に相続税の節税対策をしたい人が、節税目的で制度を利用する事に対して、
制限が掛けられました。
ですが、この制限というのは贈与を受けた子や孫が、
このスライドの3つの要件のいずれかに当て嵌まっている場合には、適用されないんです。
つまり、贈与をした人に相続が発生した際に、
・贈与を受けた人が23歳未満でしたら、贈与を受けた教育資金がいくら残っていたとしても、
・そのお金は亡くなった人の相続財産として足し戻されることはない、ということです。
(※ただし30歳時点まで教育資金が残っていた場合は残額に贈与税が課税)
(※贈与者の相続財産が5億円超なら受贈者が23歳未満でも残額に相続税が課税)
つまりこちらのモデルケースの場合、
・余命1年を言い渡された祖母(85歳)から、
・1,000万円の教育資金の贈与を孫(18歳)が受け、(2026年2月)
・その翌年に500万円の教育資金が残った状態で祖母が亡くなった場合、
この500万円については、亡くなった祖母の相続財産として足し戻す必要はないんです。
更にこの祖母が89歳まで長生きをして亡くなったとしても、(2030年)
・孫(22歳)はまだ23歳未満ですから、
・孫(22歳)がまだ使い切っていない500万円部分の残額は、
・亡くなった祖母の相続財産として足し戻す必要はない、ということですね。
勿論、贈与を受けた孫が、この残額500万円を、30歳になるまでに使い切れなかった場合は、その残額に対して53万円もの贈与税が課税されることになりますので、その点はキチンと覚えておいて下さい。
500万円ー110万円=390万円
390万円×20%(一般税率)ー25万円(控除額)=53万円
(※2023年4月1日税制改正より残額にかかる贈与税の税率は「一般税率」に統一)
では、ここまでの話を元に、
・教育資金の一括贈与が終了する2026年3月31日までの期間中に、
・駆け込み契約をすると得をする家庭について見て行きましょう。
ⅱ期限までに駆け込み契約すると得をする家庭の特徴
ズバリ、期限までに駆け込み契約すると得をする家庭というのは、
・贈与を行う人が高齢であったり、余命が短かい状況であるため、
・相続税の節税対策を行うために、早急に贈与者の財産を減らす必要がある家庭、
こういった家庭においては、教育資金の一括贈与はとても使い勝手の良い制度だと思います。
ただしその場合においても、
仮にこちらのモデルケースの様に、贈与を受ける人の年齢が高いと(23歳以上)、
・贈与者が亡くなった時点で、贈与を受けたお金が残っていれば、
・その残額は亡くなった方の相続財産として足し戻しされてしまいます。
つまり相続税の節税対策としては意味がなくなってしまうんですね。
そのため、『教育資金の一括贈与を使って早急に相続税の節税対策を行いたい!』という方は、
・このモデルケースの様に、贈与を受ける側の孫の年齢がまだ10代であるとか、
・23歳までの年齢制限にまだまだ時間的な余裕があるという家庭においては、
積極的に制度の利用を検討する価値はあるでしょう。
ただし、贈与者の相続財産が5億円超という資産規模が大きい家庭の場合、
・たとえ贈与を受ける側が23歳未満であっても、
・残額に対して相続税が課税されてしまいますので、その点は注意が必要です。
そしてくり返しになりますが、たとえ23歳までに贈与者が亡くなり、相続財産への足し戻しを避ける事ができたとしても、その後、
・贈与を受けた人が30歳になるまでに、贈与を受けた金額を使い切らなければ、
・残額に対しては贈与税が掛かります。
(※2023年4月1日税制改正より残額にかかる贈与税の税率は「一般税率」に統一)
ですので、ここまでを踏まえた上で、相続税の専門家などに意見を仰ぎながら、
自分の家は教育資金の一括贈与を利用するかどうかを検討して頂ければと思います。
④駆け込みで契約する場合は2026年3月中旬までがデッドライン
その上で、もしもあなたが教育資金の一括贈与を駆け込み契約する場合、金融機関との契約締結のデッドラインは『2026年3月中旬まで』と考えておくべきでしょう。
何故なら、確かに制度上の期限は『2026年8年3月31日』までとなっておりますが、
それは、『2026年年3月31日』までに、これらの項目を完了させて下さいね!という期限です。
・贈与者と受贈者の間で贈与契約書を作成する
・金融機関で専用口座を開設する(教育資金管理契約の締結)
・贈与資金の入金
・金融機関が非課税申告書を税務署に提出
ですので現実的には、
3月中旬までに金融機関へ事前相談をし、手続きを進めるというのが時間的なデッドラインだと思われます。
(※ 3月下旬は金融機関の混雑も考えられるため)
ちなみに、『教育資金の一括贈与』自体は2026年8年3月31日で終了しますが、
・2026年3月31日までに預け入れた分については、
・引き続きこの非課税措置の恩恵を受けることができます。
つまり「入口は閉じるけど、期限までに預け入れた分は、引き続き非課税扱いとしますよ!」というイメージですね。
ではその上で、教育資金の一括贈与を利用する際の手続きの流れについて、具体的に見て行きましょう。
ⅰ手続きの流れ
教育資金の一括贈与を利用する際の手続きの流れとしては、
⓪事前の確認
まずは手続きをしたい金融機関に連絡をし、「制度の最終受付日」を確認してください。
①贈与契約書の作成
金融機関に確認された上で、利用可能となりましたら、
贈与をする側(祖父母や両親)と贈与を受ける側において、贈与契約書を作成します。
これはお互いに贈与を実行する認識を共有するためにも必要な行程ですので、必ず行っておいて下さい。
②必要書類の提出
その上で、贈与をする側(祖父母や両親)が、信託銀行などの金融機関に、
・教育資金の贈与を行う旨を記した「教育資金非課税申告書」と
・戸籍謄本や贈与契約書などの各種必要書類を提出します。
③金融機関による税務署への提出
提出を受けた金融機関は、預かった「教育資金非課税申告書」を、依頼者に代わって税務署に提出します。
(※依頼者自身が税務署へ出向く必要はありません)
④口座開設・入金
その上で、上記の手続きと並行しつつ、
・金融機関と「教育資金管理契約」を締結し、
・専用の口座を開設した上で、贈与したい金額(最大で1,500万円)を預け入れて下さい。
⑤資金の引き出し
これらの手続きが完了すると、贈与を受ける側(子・孫など)が教育機関へ支払う資金が必要になった際、金融機関を通じて、贈与された資金を引き出せるようになります。
ここまでを、2026年3月31日までに完了するようにして下さい。
⑥領収書の受領・保管
その上で、実際に教育資金の一括贈与を使う際には、
・1月1日~12月31日までの期間に使ったお金が『教育資金目的』であることを証明するために、
・教育機関から発行された領収書等を受け取り、保管をします。
⑦領収書の提出(翌年3月15日まで)
そして保管していた領収書等を、翌年の1月1日~3月15日までに金融機関に提出する、という流れとなります。
(※⑤~⑦の順番は、金融機関によって異なります)
ここまでの手順を踏むことで、
・直系の親族間で行われた贈与は、
・教育資金の一括贈与であると税務署から認められる訳です。
(※金融機関によっては、スマートフォンのアプリで領収書の提出が可能)
(※教育機関から発行される請求書を持って手続きに行けば、金融機関から教育機関へ直接支払い手続きをしてくれる金融機関もある)
⑤2026年4月以降の教育資金贈与の最適解は?
では最後の章では、制度終了後における『教育資金贈与の最適解』についてお話します。
結論は至ってシンプルで、2026年4月以降は、本来の形である『教育資金の都度贈与』こそが最強の選択肢となります。
ⅰ都度贈与はそもそも非課税
意外と知られていないのですが、相続税法第21条の3では、
「扶養義務者から、必要な都度、教育費や生活費に充てるために行う贈与」については、そもそも贈与税を課さないと定められています。
つまり、入学金が必要な時に300万円、授業料が必要な時に100万円、というように、
・その都度、親や祖父母が直接学校へ支払ったり、子や孫に渡したりするのであれば、
・1,500万円という枠に関係なく、教育資金というのは非課税となるんです。
ⅱ相続時精算課税制度との併用も可能
更に言いますと、
最近利用者が増えている「相続時精算課税制度(2,500万円までの非課税枠&別途年間110万円の基礎控除)」と「教育資金の都度贈与」は併用使いが可能です。
つまり必要な都度贈与を活用する場合は、
・精算課税制度の非課税枠を減らすことなく、
・教育費を非課税で贈与し続けることも可能、という訳ですね。
(※教育資金の一括贈与と相続時精算課税制度も併用可能です)
ⅲ2026年3月31日までに焦るべき人は“少数派”
最後に、ここまでをまとめますと、
・教育資金の一括贈与は、2026年3月31日で入口が終了しますが、
・税制改正による改悪が進み過ぎた現状において、今後の多くの家庭にとっての最適解は『教育資金の都度贈与』となります。
一方で、
・贈与者が高齢で。
・孫の年齢がまだまだ若く(23歳未満)、
・贈与を受けた教育資金を使い切る見込みも高い、
こういったご家庭の場合は、期限までの駆け込み契約を検討する余地は十分にあるでしょう。
ですがその際においても、「制度が終わるから急がなきゃ!」と焦る前に、
まずはご自身のご家庭で「今後いつ、いくらの教育費が必要になるか」「本当に教育資金の一括贈与が必要なのか」を、冷静に見極めて頂ければと思います。
判断が難しい場合は、相続に強い税理士などに一度相談されてみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
それでは今回の記事のまとめです。
今回は「教育資金の一括贈与が2026年3月31日で終了!駆け込みで贈与契約をした方がいいのか?今後の教育資金の贈与方法も解説」というテーマのもと、
①教育資金の一括贈与は、令和8年度税制改正により2026年3月31日をもって制度の終了が決定した
②教育資金の一括贈与は、過去の税制改正で規制が強化され、即効性のある節税対策ではなくなった
③それでも「孫が23歳未満」であれば相続財産への持戻し免除があるため、高齢の祖父母がいる家庭には、駆け込み契約を検討する余地がある
④もし駆け込みで契約する場合、金融機関の手続きや混雑状況を考慮すると、2026年3月中旬までが実質的なデッドラインとなる
⑤制度終了後の2026年4月以降は、必要な時にお金を渡す「都度贈与」が最適解であり、本来これが最もシンプルで強力な非課税手段である、という内容についてお話しました。

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